森下裕道氏。肩書は「炎のスーパー接客マスター」「パーソナルモチベーター」「店舗運営コンサルタント」。
本書はおもに「店舗運営」の視点で、そのノウハウが紹介される。森下氏の経験、実績に裏付けられた「使える」テクニックが満載である。
サブタイトルとして「最強の店長にスグなる61の方法」とあるように、それぞれが完結型で、どこから読んでもいいようになっている。
ただし、読んだからには実行して、できたらそのページの上はじを折るようになっている。
どの方法も非常にわかりやすく実践的である。例えば、
01 ダメ店長の典型的な10のポイント。あなたは大丈夫?
ここではまず自分自身が「ダメ店長」でないかを診断する。10のポイントとは、
1.下に甘い
2.変化を嫌う
3.グチや不満ばかり言う
4.教育できない
5.フロアに出ない
6.自店のことを知らない
7.接客力がない
8.正当に評価できない
9.プロ根性がない
10.自分に自信がない
初っ端から襟を正すことを求められる。
さらにスタッフのモチベーションを高めるには、
03 やりがいを高める3つの方法。これでスタッフのモチベーションが上がる!
1.目標を持たせる
2.その人を認めてあげる
3.お客さんにほめてもらう仕組みを作る
とあり、決して奇をてらった方法ではないものの、意外と実践されていないことも多いように思う。
また、これも当たり前の話だが、やっているとやっていなのとでは雲泥の差がある。
06 ロールプレイングをどんどん活用しよう!接客レベルが格段とよくなる!
理屈や目的意識も大事だが、実はロールプレイこそが、最も短期間に成果を上げる秘訣なのだ。
本書は「店舗運営」を中心に話が進められるが、必ずしも「天保運営」に携わってなくとも、役に立つ部分は多い。
つまりコミュニケーションスキルを向上させるためにも、大いに参考になる。例えば、
18 部下を喜ばす2つのポイント!第三者と小声。
とあるが、これは部下に限らず、相手を喜ばす、承認する上で非常に有効である。
ダイレクトだと見え透いた感じがするのを、第三者を使ったり、聞こえるか聞こえないかの小声で褒めることは、予想以上に効果的な場合がある。
さらに、意外なところにも店員のモチベーションが関わってくることを見逃さない。
22 バックヤードをきれいにさせろ!汚いお店は流行らない!
つまり倉庫や休憩室などお客さんに見えない部分のことであるが、ここが汚いとお客さんを楽しませようという気にならないのだと。現場ならではの説得力がある。
このように本書は人を動かすノウハウ、人を喜ばせるノウハウ、人とうまくやるノウハウが満載で、実に説得力のある精神論から、現場ならではの細かいテクニックに至るまで、まさしく「店舗運営」のプロの言葉がストレートに耳に入ってくる。
接客に関係ない人にとっても参考になる部分は多いであろう。
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