■量より質

こんばんは、行動強化コンサルタントの石田久二です。


「美味しんぼ」という漫画の中に、このような話があります。とにかく常軌を逸した大食男がいて、その人をどうにかして欲しいとのテーマ。確かに漫画で見ているだけでも気分が悪くなるような大食いで、ご飯などはお櫃のままぶち込み、おかずも次々と平らげ、無数のお皿が机の上に重ねられます。


そこで、確か松茸と鱧のお吸い物など、高級な料理を食べさせ、あまりの美味しさにぼーっとなり、それで食べ物の有り難みがわかると言う結論。それで大食いが治ることになります。漫画なのでどうこう言いませんが、いつもの通り都合のよい結論です。ただ、話の展開としては頷ける部分もあります。


先日、インターネット上に「太る食べ方」が紹介されてあり、その一つに「テレビを見ながら食べる」なるものがありました。テレビに気が紛れて、お腹がいっぱいになるのが遅くなる、のような理屈だったと思います。と言うことは、太らないためにはテレビなど見ずに、目の前の食事に思いを入れて食べればいいことになります。


また、以前、坐禅道場の参禅会に参加したとき、その中でお茶菓子を頂くセレモニーがありました。小さなお饅頭とほうじ茶を、皆さんと一緒に、老師にあわせてゆっくり頂くのです。だいたい三口ほどで食べてしまう大きさ。私は少しお腹がすいていたので、量から言えば足りません。ですが、その三口を思いを込めて真剣に味わってみると、今まで気が付かなかった甘さや香りが広がり、それだけで十分に満足させられたのです。


つまり、「質」は「量」を凌駕するのです。とにかくゆっくりと味わい、その対象と一体化するかのごとく思いを込めて頂くと、もはやたくさん食べる必要はなくなる。そのような話です。


これはお酒でも同じこと。私が思わず酒の量が増えてしまうのは、昔の仲間と会って、懐かしい話に花を咲かせているときなど。その場では、どうしても「話」が主役になるので、お酒は潤滑油のごとく消費してしまいます。確かにその場は最高に楽しいのですが、翌朝はお酒が残って苦しい思いをします。


一方で、お酒を楽しむことを「目的」とした場合はどうか。ちょっといいバーなどで、純粋に美味しいお酒を楽しむ場合。もちろんそれが「いい酒」であることが条件ですが、ゆっくりと香りを含みながら、噛むようにお酒を滑らせていくと、それはそれは極上のひとときを味わうことができます。当然、ペースもゆっくりだし、たくさん飲む必要もありません。多少高いお酒であっても、安い酒をたくさん飲むのと費用は変わらないかもしれないし、何より身体にいいです。


私はタバコを吸わないのでよくわかりませんが、もしかしたら同じことかもしれません。本数が多い人を見ていると、たいていくわえタバコのながらタバコです。タバコそのものには集中していません。なのでもしかしたら、一本一本を「極上の一本」のように味わって吸うと、本数も減るのではないかと推測します。
いずれにせよ、量より質なのです。


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