■限界ストレス逓減の法則

こんにちは、石田久二です。
現代のミクロ経済学は「限界効用説」なる理論が主流であり、それはつまり、個人における「単位当たりの満足度」を経済活動の中心に置く学説です。それは「限界効用逓減の法則」とセットで論じられるのですが、しばしば「二杯目のビール」によって説明されます。
ビールで一番美味しいのは一杯目。喉がカラカラだとなおさら。ですが、二杯目は一杯目ほどではなく、三杯目はさらに、美味しさを感じられず、しばしば焼酎やハイボールに移るのが最近の流れです。このように一杯辺りの美味しさ(満足度)は、単位(杯)を進めるごとに低下していきますよ、と言うのが「限界効用逓減の法則」です。
実はこの法則はビジネスの現場でもしばしば見られます。例えばテレアポの仕事をしたとしましょう。あらかじめコンピューターに入力された電話番号に、手当たりしだいにかけまくるのですが、一番緊張するのは、最初のワンコールです。手が震え、喉が渇くほどに緊張します。
ですが、2件、3件とコールを続けるうちに、その緊張感がどんどん薄れてきて、100件もコールした頃には、ほとんど緊張もなく、まるで機会のようにスルスルとスクリプトが出てきます。
訪問営業でも同じ。特に飛び込みなどは、最初の一件目は、火中に飛び込むような気持ちです。ですが、考える間もなく、次々と訪問数を重ねることが義務付けられている場合、飛び込めば飛び込むほどに慣れてきます。
成約した時はもちろん嬉しいですが、断られた時も、さほどショックを受けなくなります。そして下手な鉄砲ではありませんが、数件も訪問し続けていると、いつかは成約されるもの。その頃には、最初のような訪問への恐怖もかなり薄れていることでしょう。
つまり、ビジネスにおける営業活動では、電話であれ訪問であれ、回数を重ねるに従って、緊張、つまり「ストレス」が薄れていくもの。これを「限界効用逓減の法則」からもじって、「限界ストレス逓減の法則」と呼んでいます。
ビジネスにおける営業の肝は訪問回数です。中には営業の神様・加賀田晃氏のように、一発必中で再訪問なしに成約させる営業マンもいますが、今の時代はそれもかなりやりにくくなっています。特に保険営業など、人間関係が柱となるような営業は、どれだけ見込み客と会うかが重要。
会う回数と成約率は、どんな営業マンであっても、ある一定の相関関係があるもの。途中でへこたれずに、とにかく回数を重ねることで、営業へのストレスも低下し、そして成約率も上がる傾向があります(逓増の法則)。
肝心なのはやはり「大量行動」です。ネットやマーケティング理論がどんなに発達しようが、ビジネスから人間関係を切り離すことはできません。その核になるのが、まさにコミュニケーションであり、人と会うこと。
「限界ストレス逓減の法則」を知っていれば、営業活動もかなり楽になるでしょう。


カテゴリー: |―潜在意識の活用法 パーマリンク