■丿貫に学ぶ人生

こんにちは、石田久二です。
「美味しんぼ」ってマンガの中に好きな話があります。このマンガのテーマは「食べ物」ですが、しばしば「食」を巡って対決する話が出てきます。主人公の山岡史郎に対する敵は、実の父親である海原雄山。私の好きなのは「鍋対決」って話です。
この話には丿貫(へちかん)なる奇妙な人物が登場します。室町時代に実在した人物のようですが、稀代の茶人としてマンガでも描かれています。ほとんど、浮浪者のような世界で、日本各地を放浪しながら、行く先々で茶会を開いたりています。
ある日、行きつけの「岡星」に山岡たちが集まっている時、「水のにおい」に誘われ、ふらっと丿貫が入ってきました。山岡、岡星らは興奮して、丿貫の後を付けます。そこで繰り広げられていたのは、辰さんら本物のルンペンたちとの茶会。山岡一同、感動してそれを見届けます。
話は端折りますが、この話では丿貫の気に入るような鍋対決がテーマとなります。味云々よりも、丿貫の思想と言っていいのでしょうか。先手は山岡。日本全国の鍋料理のいいとこどりをした「万鍋(よろずなべ)」を披露。審査員のウケも上々。
対する海原雄山は蟹、ふぐ、松茸、すっぽんなど、鍋の王道をドカンと披露。山岡が手を尽くし足を走らせたのに対し、雄山は最高の料理人に命じて、最高の鍋を用意させただけ。
山岡がくんだ丿貫の心とは、、、「もてなしの心」。それを言った瞬間、丿貫はキョトンとし、京極さんは焦り、雄山は大笑い。山岡はとんだ間違いをおかしていたのです。
雄山いわく、丿貫の心とは、、、「こだわりのなさ」。山岡の鍋は、相手に気に入られようと、媚を売り、こだわりにこだわり心が濁っている。雄山は、とにかく最高の鍋を食べてもらおうと一番いいものを用意した。対決の結果は言うまでもありません。
この話を思い出した時、これは人生も同じだと思いました。人はとにかくこだわります。例えば夢や願望を叶える時。そんな欲を持つべきではない、努力してはいけない、願望は自然に叶えるもの、強く願い過ぎると叶わない、自分らしく、ありのままに、、、など、とにかくいろんな御託が並べられるだけ。
一言言いたい。結局どうしたいんだ、と。願望がないならないでいい。さながらに生きればいい。何の欲も持たず、草木のようにそよそよと生き、死んでいくのも一つの人生。
だけど、本当はどうなんですか。願望あるんでしょ。もっと言うと、お金欲しいでしょ、恋愛もしたいでしょ、人から認められたいでしょ、そしてもっと自由に、幸せに生きていきたいでしょ。だったら、こだわらずに求めていいじゃん、と思うのです。
「欲を持ってはいけない」って思う時点で、すでに欲にがんじがらめ。あーだこーだと理屈を言っては、自分を正当化しようとする。そして共感してくれる人のところに行って、自分を慰めようとする。挙句の果て、自我を敵視したりする。そんなに自我が嫌いなら、前頭葉にメスを入れて、一生、思考も感情もない、草木のような生活を送ればいい。
だけど、そんなこと誰も望んでないでしょ。自我があって当然、願望があって当然。だったらまずはそれを認めて、動き始めればいい。失敗しても、それもまた人生。とにかく前に進んでさえいれば、何かわかることだってある。
こだわらず、ストレートに。自分に正直に、ただ、素直に。これは丿貫から学びました(by山岡)。


カテゴリー: |―熱い話 パーマリンク

■丿貫に学ぶ人生 への4件のフィードバック

  1. 悠彰 のコメント:

    SECRET: 0
    PASS:
    その通りだと思います!熱くて笑えました!(笑)

  2. YOKO のコメント:

    SECRET: 0
    PASS:
    こだわり過ぎて、結果私の人生前に進まず。

  3. 石田久二 のコメント:

    SECRET: 0
    PASS:
    >悠彰さん
    笑ってもらって嬉しいです(笑)

  4. 石田久二 のコメント:

    SECRET: 0
    PASS:
    >YOKOさん
    こだわりを捨てられるといいですね。

コメントは停止中です。