「ソース」マイク・マクマナス著

 「あなたの人生の源は、ワクワクすることにある。」と表表紙に記されてある通り、本書のテーマは「ワクワク」にある。

 文字通り「人生の源(ソース)」とは「ワクワクすること」であり、それを見つけ実践していくための指南書である。

 学校でも会社でも、うまくいかない原因は、それが「ワクワクすること」ではないから。

 例えばクラス一乱暴で嫌われ者の生徒は、ある時、ボクサーになりたい夢を語る。そこで「ボクシング」に関する教材を使用してみたところ、結果として他人ともうまくやっていけるようになり、自らの存在意義と満足感を満たすに至る。

 また、授業の邪魔ばかりして手に負えないクラスでは、自分たちに関心のある課題に取り組ませることでやる気を引き出すことに成功した。

 このことは学校だけでなく、企業や社会一般にも当てはまるものだと著者は言う。

 しかしながら「ワクワクすること」だけやっていて、本当にいいのだろうか。

 当然、このような疑問を持つ者も少なくないが、望み通りの人生や仕事が手に入らないのは、そのような誤った社会通念を前提としていることにあると言う。

 例えば自らを犠牲にしてまで責任を持つことのウソ。ヤル気を出さなければならないことのウソ。成功するには能力が必要だということのウソ。

 その他にも「上手のウソ」「決断のウソ」「妥協のウソ」「優先順位のウソ」「現実的になれというウソ」など、社会通念として信じられてきたことへの誤りを指摘する。

 そしてその誤りに気づくことが、望み通りの人生を手に入れる第一歩だと言う。

 次に肝心の「ソースプログラム」を実行するための具体的な方法が紹介される。

 ワクワクを全部書き出す、ワクワクすることはすべて同時進行で行う、そしてそれらに同じ量の情熱を注ぎ込む、まずは小さな一歩を踏み出す、目標を立てずに方向性だけ定める、信念を持ち自分の直感を信じる、などがそうである。

 このようなルールに従って生きることが、望み通りの人生を手に入れるための具体的なセオリーとなる。

 そして極めつけは、「ワクワクすることをしていれば、お金は自然についてくる」ということ。

 誰もが「ワクワクすること」に専念し、そして望み通りの人生を送りたいものだ。そのために最大のネックとなるのが「お金」であることに異論ことはないだろう。

 しかしそれはともかく、「お金」がないことを言い訳に、「ワクワクすること」を先延ばしにするべきではないと主張する。

 信念を持って行動し続ける限り、「お金」は後からついてくるもだと説き、それを実現した歴史的な成功者のエピソードを紹介する。

 単なる「結果論」だと反論する人もいるだろうが、確かに真に望み通りの人生を送っている人は、最初から順風満帆ではなかったにせよ、「ワクワクすること」だけを愚直に行ってきた人たちである。

 ただ、本書では、単に「ワクワクすること」だけやっていればそれでいい、そのことを信じて、あとは何も考えるな、などという精神論だけに終始しているわけではない。著者は「ワクワクすること」と同時に「バランス」が大切だと言う。

 仕事ばかりで家庭や健康を犠牲にすることはバランスの取れた人生だと言えないし、一方、働かずに惰性に任せた人生を送ることも、一見それが楽しそうに見えたとしても、本当に望む人生から逃避しているに過ぎない場合もある。これもバランスの取れた人生とは言えない。

 収入、健康、家庭、趣味など、あらゆることにおいてバランスの取れた状態から、真に「ワクワクすること」に突き進むことによって、本当の望むべき人生が手に入るのだと言う。

 本書の興味深いところが、「優先順位のウソ」にもあるように、仕事や家庭、趣味などに優先順位を付けるのではなく、同時にすべてやれ、と言うところである。

 それは大きなことでなくてもいい。些細なことだからこそ、優先順位が後回しにされがちだが、そうなるといつまで経っても本当にしたいことができなくなる。

 優先順位の高いものを、多少削ってでも、同時にやること。これが「ソース」の説く「バランス」感覚なのであろう。

 やりたいことをすべてやる人生。やりたいことしかやらない人生。そんな人生を実現するために、本書は少なからずとも、道しるべにはなるであろう。

ソース―あなたの人生の源はワクワクすることにある。/マイク マクマナス
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