著者である河本隆行氏が学生時代、人生の絶望に附し、自殺を企てようとするショッキングな出だしに引き込まれる。
本書には、世界の名だたる5人の成功者から、河本氏が「直接」教えてもらった、人生をよりよく生きるエッセンスが込められている。その成功者の名は、、
「金持ち父さん、貧乏父さん」で有名なロバート・キヨサキ。
世界ナンバーワン・コーチのアンソニー・ロビンズ。
男女関係に関する世界的権威であるジョン・グレイ。
日本でもベストセラーになった「話を聞かない男、地図が読めない女」の著者でもあるアラン&バーバラ・ピーズ。
そして両腕がないままに生まれ、今や世界的なスピーカーとして活躍するジョン。フォッピ。
名だたる成功者、スピーカーのエッセンスを、わかりやすく解説してくれる。
ただ、それだけだと、単なる書評であったり人物伝で終わってしまう。
河本氏である必要もない。本書の面白さは、何より、直接、教えてもらったという臨場感に加えて、普通では聞かれない「裏話」がさりげなく聞かれる点だ。
例えばロバート・キヨサキの章では、代表作である「金持ち父さん、貧乏父さん」の話になるが、河本氏はその「金持ち父さん」に実際に会いにハワイまで出かける。
しかし、探せども「金持ち父さん」には出会えない。そこでロバート氏本人と接触し、実は「金持ち父さん」は創作の人物、つまりフィクションであったと知らされる。
「騙された!」とは河本氏は思わず、感動する。
事実でなくとも、あんなに素晴らしいストーリーでファイナンシャル・リテラシーを高めてくれるなんて。
さらに内実が明かされる。あの本は、実は、ロバート氏が開発した「キャッシュフローゲーム」の宣伝パンフレットであると言うのだ。
ロバート氏の魂胆は「キャッシュフローゲーム」を売ることにあり、最初に本を書くことで、それに成功した。
つまりは、ロバート・キヨサキとは投資家ではなく、マーケッターであることが明かされる。実に面白い。
また、ピカソとゴッホの話も興味深い。
同時期に活躍した2名の天才画家であるが、ゴッホは生前、絵が売れずに不幸な人生を歩んだのに対し、ピカソはあれほど前衛的な絵を描きながらも、それを次々に売りさばいた。
その違いは絵の質や時代感覚ではない。本人のセールススキルの違いであると言う。
つまりロバート氏もピカソもセールスの天才という点で一致しているのだと言う。
さらに、ロバート氏はあれほど稼いでおきながら、納税額はゼロだと言う。その秘訣についても語られる。
この本の特徴を一言で言うと、とても「濃い」ということだ。
その濃さはルー大柴似の河本氏の顔と比例しているとは言わないが、5人もの世界的成功者からの直接の教えが濃くないはずがない。
そして雲の上の存在である5人との距離がグッと縮まったようにも感じる。
- ミリオネアの教え、僕の気づき/河本 隆行
- ¥1,470
- Amazon.co.jp