■重曹は農薬です

こんばんは、石田久二です。


日本がTPPに参加したらどうなるか。特に農業は。個人的にはTPPは賛成でもないのですが、参加が決まったのであれば、その上で最善策を講じる必要があります。ただし、TPPで日本の農家は壊滅すると叫ばれながら、実際にはTPPを歓迎する農家があるのも事実。


それは主に良質な作物を国内外に提供している農家や酪農家。私も世界中を旅して、いろんなものを食べてきましたが、日本の食べ物の美味しさは群を抜いています。みかん一つにしても格が違います。ただ、ふと疑問に思うことも。なぜに、日本のみかんはこんなに美味しいのだろうか。パキスタンではみかんをキロで買って食べており、それなりの味ではあったけど、種が多く甘みも少ない。


結局、日本のみかんや他の農作物が美味しいのは品種改良であったり、徹底した作物管理があっての上なのでしょう。つまり、それだけ高品質な農作物を生産できるわけで、世界的には「日本産」というだけで、すでにブランドです。ですので、工夫次第では、今後、日本の農作物も世界に向けて発信することが期待できます。


ところで、話は変わりますが、しばしば農作物は「自然」であることを信奉する向きがあります。例えば「無農薬野菜」などがそうですし、遺伝子組み換えなんてのは、それだけで敬遠されています。ただ、先ほど書いたように、日本の農作物が美味しいのは、品種改良の結果であり、それ自体がすでに「自然」ではありません。


その観点からいろいろ調べていると、面白いことがわかりました。例えば「農薬」です。確かに農薬をそのまま飲めば身体に悪いに決まっています。そして「農薬」のイメージは決まって悪いもの。その結果、多少値が張っても「無農薬」が好まれる傾向があります。中には「虫食いのキャベツは甘くて美味しい」と宣伝する人もいます。


しかし、これは大きな間違いのようです。その件に関しては、以下のサイトが面白くてわかりやすいです。ただ、これをして「正しい」とは断言できませんので、考える材料にして頂ければと思います。



やる夫で学ぶ無農薬野菜の危険性



虫食いのキャベツが本当に美味しくて安全かどうかについては、決してそうでもないとのこと。野菜には「食われまい」とする機能が始めから備わっていて、虫が食い始めると、危険を察して、自らの「危険物質」を分泌するそうです。そしてその危険性はいわゆる農薬以上であるとか。


また、農薬と言うだけで毛嫌いされる風潮がありますが、当然、身体に害のない農薬だってあります。その代表が、重曹であったり、酢であったり。確かに酢などは殺菌作用があると言われますが、菌だって生き物です。菌には強く、人間には害のないものだってあるわけです。


また、玉ねぎなども、食べすぎはともかく、人間が食べても美味しいし安全です。目に沁みる程度。しかし、玉ねぎもまた殺菌作用があり、例えばゴキブリ退治の団子なども、材料は玉ねぎです。つまり、玉ねぎはたまたま人間には害がない(少ない)ものの、虫や他の動物には立派な毒でさえあるのです。


考えてみれば、確かに自ら大量に食べてもらう努力をする野菜は自然界には少ないかもしれません。食べてもらうにしても種を選んでいる。例えばドングリなどは、人間には害ですが、イノシシは好物としています。山菜だって、そのまま食べられるものは少なく、たいていは「調理」というプロセスが入ります。いや、むしろ調理なしで食べられる野菜の方が少なく、例外的に果物がある程度。


ただ、それもまた品種改良の結果であり、柿なども、元は渋柿しかなかったと言われています。つまり、「自然」であることと、「人に優しい」は必ずしもイコールではなく、それは医療も同じですが、「自然」であるとは一定の厳しさが伴うものなのです。


ですので、今、人に優しく、そして美味しい食べ物にあふれているのは、人間の都合のよいように自然を改良してきた結果であり、その時点ですでに「不自然」であることがわかります。しかし、その不自然さんもまた人間(思考を持つ人間)の宿命であり、逆らえないこと。


ですので、今さら「農薬」を毛嫌いするのもおかしいし、もしも農薬がなければ、安全で美味しい作物は提供されることはありません。重曹は農薬であるとのタイトルですが、重曹は確かに安全です。しかし、それを見た瞬間、「え??」と思った人がいれば、それは「農薬」の持つ印象に反応しただけのこと。世の中の本質を見る上で「印象」は常に妨げになるものなのです。


カテゴリー: |―切ない話 パーマリンク