こんばんは、石田久二です。
このブログでは、イデオロギー的な話は避けるスタンスでいましたが、この問題は日本の未来にとって極めて重要でもあり、ミクシィに書いた文章を、こことフェイスブックにもそのまま貼りつけることにします。
また、先ほど、学生時代に影響を受けた研究者とTPPで何名か検索してみたところ、経済学者の宇沢弘文氏、金子勝氏、医療経済学・科学哲学者の広井良典氏は、明確にTPP反対の立場でした。私がTPPに違和感を感じる思想的一貫性が確認できた気分です。
以下、TPPに関する文章です。月に数回は小児科に行くなど、私の生活に身近な医療問題からアプローチしています。これは日本の医療制度崩壊、医療水準の低下の引き金となる、かなり深刻な制度改悪となることは間違いありません。
TPP参加で「自由診療」普及 金持ち用病院登場する可能性も
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TPPの参加で農業とならび懸念されるのが医療の問題。
>日本の医療は皆保険制度。国民全員が保険料を国に納め、国が平等に医療を受けられるように保障する。このため、医師が自由に料金を設定できる「自由診療」は、先進医療や美容手術などの場合を除き、厳しく制限されている。
>しかし、これは日本独自のシステム。アメリカなどではその「自由診療」が主流だ。TPPに参加すると、各国の診療体系が同一化されるため、日本もまた「自由診療」が普及する公算が大きい。
まずおかしいのが、先進国で国民皆保険でないのはアメリカだけ。「日本独自」でもなんでもない。アメリカが例外。もちろんそれはアメリカの歴史や文化によって制度化されたもので、それぞれのお国事情があるんでしょう。
そして、腕の良い医師と腕の悪い医師という区別がおかしい。医療行為ができるのは医師に限られ、それは最低6年間の勉強と厳しい国家医師免許をパスし、さらにいくつもの研修と実践を経たという「資格」を持つ人たち。つまり一定の医療水準は担保されている。
もちろん難病に対しては、腕の良しあし、得意不得意もあろうけど、通常求められるのは一般的な傷病に対して。喉が痛いだけで、世界的な一流ドクターをアメリカから呼ぶ必要もない。医師免許を持って、ある程度の経験や専門性のある医師であれば、おおよそ間違いがない。
そこにTPPの参加が決まるとどうなるか。記事の通り、アメリカのような「自由診療」が増え、高いけど質の良い高級医療と、安いけど質の悪い劣悪医療の二極化が始まる。金を持つ少数の人たちは質の高い自由診療でいいけど、それ以外の人たちは劣悪医療にしか行けなくなる。
つまり、金のある人は高質・高水準の医療を受けられるけど、それ以外の人は医師や設備が疲弊しきった病院に長蛇の列を作るようになる。入院のベッド数も限られ、治療の遅れも進むことだろう。ようするに「人の命も金次第」ってこと。
そもそも、そのような状態を回避するのが、本来の国策であり、社会保障制度であり、国民皆保険。日本を始め先進国は長い歴史の中でようやく国民皆保険を勝ち取ったと言うのに、TPPの参加によって先人達の苦労もすべて水の泡。
そこに付けこんで、代替医療従事者の活動範囲も広がるだろうけど、それは日本の医療水準を上げることにはならず、逆に著しく下げることにつながる。病院に行きたくても混んでるし、看てもられるかわからない。だからと言って自由診療のクリニックは高くて行けない。だったら、よくわからないけど、代替医療でも行ってみるか、、、となるが、極めて危険な選択。
もちろんこれは一番悲劇的なケースだけど、TPPに参加するってことは、少なくとも日本がこれまで懸命の努力で勝ち取ってきた国民皆保険を崩壊させるシナリオを選択するってこと。
国の役割は国民の生命と財産を守ること。TPPへの参加はその両方に風穴を開けてしまう。弱者切り捨て。そして今、政権を握ってるのは一番最悪な政権。共産党が反対するのは当然で、イデオロギー的に保守の自民党ならTPPを推進しそうなもの、農林水産業の地盤が強いのでそれもない。そこに来てどっちつかずの民主党。最悪な時に最悪な政権。それを選んだのは国民だけに、今さら後悔しても始まらない。
菅直人がTPPをして「平成の開国」と言ったそうだが、言い得て妙。それは皮肉にも一方的な不平等条約を押しつけられた「安政の開国」を連想させるのだから。ただ、当時の状況は、日本が近代国家へと発展するための産みの苦しみと言えなくもないけど、今の日本は世界で最も成熟した国の一つであって、アメリカの言いなりになるメリットは一つもない。なぜに「医療制度後進国」のアメリカの制度を逆輸入せねばならないのか。TPPの参加は、少なくとも日本の医療に対しては、百害あって一利なしである。
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TPPのことは、アメリカではあまり報道されていませんが、日本にとってはいろんな分野でかなり不利な条約になってしまう、と理解しています。
今のアメリカの社会保障制度は、先進国の中でも著しく遅れていて、とくに医療に関しては、前にクリントン大統領がヒラリーを先頭におき、「医療改革」として国民保険を提唱していましたが、その案は共和党率いる下院から猛反対され、オバマ大統領がまた「医療保険制度改革(俗に「オバマ・ケア」と呼ばれている)」を打ち出しましたが同じ状況。
どうやら、「社会保障=社会主義」と理解しているアメリカ人が多いのでしょう。また、アメリカの政治家(とくに共和党)が富裕層に有利な制度を好むのは、キャンペーン費用などに使う政治献金目的ではないか、とも思われます。
去年のある調べによると、アメリカでは、破産宣告をした人たちの62%は、「医療費が払えない為」、しかも、そのうちの78%はなんらかの医療保険に加入していた、とのこと。これは、医療保険に加入していても、個人の負担がかなり大きなことを示しています。
本当に、日本がTPPに加入しないことを祈ってます。。。
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仰る通り、自ら国家主権を放棄するがごとき暴挙です。
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>はっはっはさん
アメリカは実質、圧力団体が政治を牛耳ってると言われますし、富裕層も立派な圧力団体かもしれませんね。
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>ロドリゲス鈴木さん
ほんとです。