こんばんは、石田久二です。
今日、地元の図書館に行くと「JAZZ JAPAN」なる雑誌があったのを見つけ、パラパラと読んでみました。昨年廃刊になった「スイングジャーナル」っぽい作りですが、紙は大きく、紙面は薄くなっています。無駄な記事を減らした感じで、買うまではないけど、図書館で読むにはちょうどいいかなってこと。
ただ、今月号の特集は実に面白かったです。早稲田大学のモダンジャズ研究会(ダンモ研)の50周年とかで、当時の学生で、今はプロとして活躍している人たちが鼎談をする内容。メンツは、ベースの鈴木良雄、ギターの増尾好秋、ジャズプロデューサーのバードマン幸田、そしてご存知タモリが揃って雑談してるだけ。
だけど、ジャズ好きにはたまらないエピソード。まだジャズなる音楽が日本に入って来たばかりで、何がどうだかわからない当時、とりあえず集まって何かやってみようみたいな感じで、早稲田の学生が立ち上げたサークル。だけど、このサークルは日本のジャズマンを数多く輩出する名門となり、もちろん今でも受け継がれています。ただ、最近はジャズ研出身のミュージシャンは減り、プロは洗足音大かバークリー出身ばかりになってる気もします。
その当時、渡辺貞夫がアメリカから帰ってきて、その早稲田のダンモ研に来た時のこと。もう、ぶったまげたそうな。その日を境に、日本のジャズが一気に変わったと言い伝えられているそうな。そして早稲田ダンモ研からは、数々の有名ミュージシャンが育ち、そしてタモリはミュージシャンを挫折しながら、しゃべりが面白いのでMCに回され、今のタモリに引き継がれるわけです。
なんでも、タモリはトランペットのハイトーンが出なくて、無理に出そうとしたら笑ってるような音になり、それをして「マイルスのラッパは泣いているが、オマエのは笑っている」と言われて、MCに転向したとのこと。ただ、その後、「マイルス・スマイルズ」なるアルバムが出て、タモリは「マイルスも笑ってますけど」と言い返しに言ったとか。
そんないろんなエピソードが語られながら、一つ、よくわからない話がありました。最近の学生は人間関係が薄いみたいな話になって、タモリが「それは『キーム』をやらなくなったからじゃない?」と言うのです。キーム、、、ちょっと耳慣れない言葉です。
注釈には「ジャズのリズムのルーツはアフリカの割礼にあり」など、よくわからないことが書いてあるだけ。ただ、当時のジャズ界は名前を逆さまにするのが流行っていて、例えば「モダン」は「ダンモ」、「女」は「なおん」、そして「森田」は「タモリ」という具合に、タモリも当時からタモリだったそうです。
ですので、「キーム」を逆さまにすると「ムキ」になるわけで、注釈から推測するに、「くっだらないことやってたんだな~!」とおよそのイメージができて、一人で笑ってしまいました。合宿の通過儀礼として「キーム」が伝統的に行われてたようで、逃げ回る同級生や後輩に次々とキームをかけては親睦を深めていたそうです。
当時の学生は娯楽が少なかったのか、本当に下らないことやってたんだな~、となんかちょっと羨ましくもあり。今の学生はどうなんだろう。なんとなくスマホばかりいじってる雰囲気があるし、その一方で一人で飯を食えない文化になっているような。つまり、一人でいることは恥なる風潮があり、友達のいない人間はトイレの個室で弁当を食ってたりするそなんです。
確かそんな話も聞いたことはあります。それに対して、当時の学生は「一人でいることがカッコイイ」なる風潮もあり、その意味で、私が学生の頃はその端境期だった気もします。私は当然、一人でいるのがカッコイイ派だったのですが、そんな私を見て「怪しい」と言う同級生もいました。
ただ、そんな奴が面白くないはずもなく、次第に周囲から私に関心を持つようになり、嫌々ながら友達がたくさんできる学生時代でした。それにしても、最近の学生はますます「くだらないこと」をしなくなってる印象があり、ちょっと寂しい気もしています。
私などは、かなり変わった学生だったようで、下系も含めて、それなりに「くだらないこと」をやったように思います。「ドン引き」されることも、一度や二度ではなく。ま、「くだらないこと」ができるのも学生のうち、、、とか思いながら、そんな奴は大人になっても「くだらないこと」をやり続けるように気がしないでもなし。いつまでもバカでありたいと思います。さすがに「キーム」はしないですが。
石田久二(いしだひさつぐ)
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