アメリカ成功哲学の大家であるブライアン・トレーシーの一冊。「仕事が面白くなる100の法則」という副題がつく。多数の自著を持つ著者であるが、本書はある意味集大成的でありながら、平易なノウハウ本としても活用できるお得な一冊といえよう。その実、人生論に始り、成功哲学、販売交渉術から時間管理に至るまで様々なビジネススキルを網羅しており、それぞれの項目ごとに100の法則としてまとめられている。その項目は全部で8つ。「人生」、「成功」、「ビジネス」、「リーダーシップ」、「お金」、「販売」、「交渉」、「時間」の項目に分けられている。
例えばその第一章の「人生」の最初の法則、「原因と結果の法則」を見ると、まず法則の説明が簡潔な一文でなされている。
001 「原因と結果の法則」
例外なく出来事には理由があり、結果には原因が存在する。
そしてその法則の真意を紐解く。「原因と結果の法則」は実にアリストテレスの時代から発見されていると始まる。そして各法則の最後には「この法則をいますぐ実践する方法」として具体的なアクションへの提示がなされる。それは100の法則のすべてにおいてなされている。
その他、例えば第五章の「お金」を見てみたい。個人的に気に入った法則であるが。
046 「豊かさの法則」
金持ちになろうという意思が、人を金持ちにする。
050 「貯蓄の法則」
収入の10%以上を一生貯蓄し続ければ、経済的な不安から解放される。
057 「磁力の法則」
蓄えが増えるほど、収入が多くなる。
など。このようなきわめて示唆的であり、人生により大きな豊かさをもたらす法則が実に100種も紹介されている。一年で500万円稼ぐのと、1000万円稼ぐのとでは、ほかの条件すべて同じなら、普通はどちらを選ぶであろうか。答えは言うまでもない。ではその差を生みだす要因は何か。それが本書で紹介されているような「法則」の理解と実践である。ビジネス成功のための「法則」は、物理学、数学、力学、電気学などと同様、実践的で裏付けのある法則である。本書で紹介されている「法則」を活用することで、リンゴから手を離せば落ちる、といったように必然的に成功は手に入る。
そこで、本書を活用するにあたってこのような方法はいかがだろうか。100通りの「法則」を一から読んで実践するのもいいが、必要な情報は往々にして向こうからやってくるものだ。1日のスタートに目を瞑って任意のページを開く。そこに書かれてある「法則」こそがその日に身につけるべき「法則」なのだ。例えば今、それを実践してみよう。偶然に(そして必然に)出てきた「法則」がこれだ。
056 「積み重ねの法則」(お金)
10%は困難でも、1%ずつなら何でもできる。
ここでは貯蓄のやり方を指南する際、最初から収入の10%は難しいが、1%ならできる。それを2%、3%と徐々に増やしていけば、いつの間にか10%の貯金が可能になっているという理屈だ。このことはまた資産形成以外の分野でも言える。テキストを毎日1ページ、体重を100グラム。この「積み重ね」こそがやがて大きな成果に結びつくのである。
このメッセージは奇しくも今の私に必要なものであった。その「法則」を読み、その日はそれを実践する。そしてそのページに日付を入れてマーカーする。翌日も同じように任意のページを開いてみる。そこで出た「法則」が今の自分に必要な「法則」なのだ。そしてその日も日付を入れてマーカー。
では、もし同じ「法則」が出てきたらどうするか。言うまでもなく、それもまた必要な「法則」なのだ。従ってもう一度、日付をつけてマーカー。実践あるのみ。もし余裕があれば別の任意のページを開いてみてもいい。理論的には100日ですべての法則を身につけることになる。ブライアン・トレーシーの言うことが本当であれば、これで成功しない方がおかしいし、実際そうなのであろう。人生成功の手引書として手元に置いておきたい一冊である。
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