「あなたの悩みが世界を救う!」神田昌典著

 まさに痛快、神田節炸裂!

 神田氏に寄せられる多くの悩みに、ビール片手に真剣かつ愛をもって回答する痛快の一冊。ビジネスのみならず生き方や恋愛、精神世界、時代の読み方に至るまで、ばっさばっさと気持ちよく答えてくれる。ここに寄せられる50通もの悩みに、多くの人が共感させられるだろう。正直、ふざけたような質問もある。しかし神田氏は決してそれに同調せず、冷静な判断と分析力でもって、丁寧に答えてくれる。中には数行でばっさり斬られている質問もあるのだが、そこに愛を感じさせるのは、神田氏の度量なのであろう。面白かった質問をピックアップしたい。

○オーラや前世などスピリチュアル的なものが話題ですが、神田さんのスピリチュアルに対する考え方を聞かせてください

⇒オーラなんて誰でも見える。見えても何も変わらない。カラオケを上達させた方がいい。不思議な世界はあると思うけど、目に見えない世界に振り回されるなんてカッコ悪い。ちょっと変わったエンターテイメントだ。

(Q評)
ああ、痛快。神田氏は決してスピリチュアルを否定しているわけではない。むしろ肯定派。でもそんなものに振り回されて生きるなんてカッコ悪い。ああ、まさにその通り。オーラが見えるからって何?前世なんてしょせんフィクション。まったくその通り!

○3代100年続く餡子屋の先行きが不安。神田さんならこの状況をどうやって打開しますか?

⇒あなたの生き方、カッコ悪いぜ。できないことを見つける天才。3代も続いていること自体すごい資産だ。まず親と先祖に対する感謝がないのが許せん。これからの日本に必要なのは「食育」だ。欧米では和菓子が流行ってきてる。そういう世界の流れに日本の伝統と起業スピリットを持ち込むのだ。成熟産業が「成長産業」に変わるかは、ほんの一人の先見性を持った人物が現れるかどうかなんだぜ。

(Q評)
愛に溢れている。甘ったれた3代目に活を入れながらも、餡子屋がこれからの時代に乗る方法をコンサルティングしながら、しっかり励ましている。涙が出た。特に「カッコ悪いことから逃げずに取り組んだヤツが、カッコよくなれるんだよ」には心が震えた。まさにその通り。座右の銘にしたいくらいだ。

○35歳からでも英語がすぐ話せるような画期的な勉強法を教えてください。

⇒魔法のような勉強法があるのに、なぜ学校で教えないのだろうか。自分の興味のあるトピックを英訳してもらって、英文をネイティブに吹き込んでもらい、丸暗記するのだ。これで応用もきく。

(Q評)
うわ~具体的。こんな方法、教えちゃっていいのだろうか。是非、実践したい。

○起業に関して否定的な言葉(「バッカじゃないの」「どうせムダなんじゃないの」など)しか言わない彼女とは別れたほうがいいのでしょうか?

⇒別れたほうがいいでしょう。水をさす相手だからではない。真剣に経営者を目指すのだったら、厳しいことを言ってくれるパートナーほどありがたい。別れたほうがいいというのは彼女の言葉遣い。仮に事業が成長しても、パートナーが下品なら失格。パートナーの器が小さければ、本人もそれ以上の器にはなれない。品のある女性を選びなさい。

(Q評)
素晴らしい。論点をパートナーの品性問題に切り替え、見事な持論を展開している。言葉が汚く下品な女と付き合うと男はそれ以上の器になれない。偉大な経営者の影に偉大な女性(女房)あり。論点はそこ。それこそが大事。いいこと言ってくれます。

○飲み会で知り合った女性からメールが来ないのですが、どうすればいいのでしょうか?

⇒私も以前、超タイプのスチュワーデスにメルアドを渡したことがある。メールが来ないので潜在意識のテクニックを駆使してみた。ピラミッドパワーも使った。結果はダメ。突破口は男を磨くこと。

(Q評)
これって神田氏のネタでしょ(笑)。恋愛成就に潜在意識のテクニック使ってもダメなのはあたりまえ。男女問わず人間を磨かなければ。正論なんですが、以外とスピテク使いたがる人って多いですよね。神田節炸裂。

○生まれてから29年間彼女がいないですが、どうすればいいのでしょうか?仕事も手につきません。

⇒最初から恋人がいるヒーローがいるか!?。命をかけて敵と戦い、最後に与えられるご褒美が恋人。仕事もしないで恋人を欲しがるな。恋人がいないことよりも人生を始めていないことのほうが重要な問題だよ。という自分自身も昔はもてなかった。26歳まで童貞だった。あなたと同じように、実績がないとモテてはいけないと思い込んでいた。その葛藤は理解できる。負けるな!

(Q評)
ああ、これも愛に溢れている。「26歳まで童貞」をカミングアウトしながらも、我がごとのようにアドバイスしている。成功者ってのはみんな人生の葛藤を乗り越えている。それを乗り越えてセクシーと言われるようになる。素晴らしいアドバイス。この男性、とっても元気が出ただろう。

○「ありがとう」と唱えながらトイレ掃除をすると、本当に運がよくなるのでしょうか?

⇒おそらく効果抜群。瞑想に入っていくのと同じ方法論。お薦めの方法だ。しかし、私自信は「ありがとう」と唱えながら、トイレ掃除はしない。どん底に陥ったら最高級のスーツを着て、靴をピカピカに磨いて街に繰り出し、最高のホテルのロビーに座って突破口を見出すだろう。でもトイレ掃除の効果にはかなうまい。それでもトイレ掃除はしない。イヤだからではなく、美意識の問題。トイレ掃除を業績アップや開運の手段としてやることが、私のスタイルではないからだ。

(Q評)
ああ、カッコいい。トイレ掃除の効用を最大限に認めながらも、自分のスタイルを第一義とする。まさしく男の美学。

○上司に「100円のリンゴを一万円で売れ!」と言われたのですが、どうすればいいのでしょうか?

⇒価格は販売者のセルフイメージで決まる。同じリンゴでも100円ショップに置けば100円だけど、上質な食の美術館をコンセプトとしているショップにおけば500円で売れる。イチローがリンゴを売ったら、一万円でも100個は完売だろう。妥協して販売すれば、顧客も妥協して購入する。真剣勝負で売れば、顧客も真剣勝負で購入する。その結果、価格が高ければ高いほど、顧客は商品を味わい大切にするから満足度も高い。美しくないのは妥協が妥協を生むような仕事の仕方だ。

(Q評)
頭を殴られたようだ。これを読んで私も絶対に料金を値下げしないと決めた。妥協してはならない。常に真剣勝負。その方が、結果として満足度も高いのだ。ちなみに神田氏はここで真面目に「100円のリンゴを一万円で売る方法」を提案している。さすが神田昌典。一読の価値あり。

 他にも面白い問答がたくさんある。久々に泣き笑った。そして目から鱗をたくさん落とした。やっぱり神田昌典はやめられない。バイブルとなる一冊だ。

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