自分の前世に関する相談が出てきて唖然とする。精神科医なのだから前世がわかって当然。精神科医の香山氏はこれを単なるいちクライアントの特殊な事例と見るのではなく、スピリチュアルブームという名の社会現象として危機感を抱いている。
この手の論調は様々な評論家や著述家が行ってきたため、とりたてて新しい視点があるわけではないが、後半分は興味深く読むことができた。
スピリチュアルが流行るその根底になるのは、個々人の徹底した「利己主義」であるとのパラドクスに見ている。そしてブームの中心となる人物が言うまでもなく江原啓之である。
そもそもスピリチュアルはブームになる以前か存在した。新興宗教を含む既存宗教がそうである。しかしスピリチュアルにハマった多くの人は、スピリチュアルと宗教を切り離して考えている。つまり「スピリチュアルは優しい」が「宗教は怖い」からである。
それは執拗な宗教勧誘や、オウムやイスラム原理主義などのテロ行為と結びついているのだろうが、実際、スピリチュアルとオウムとはその本質は同じであり、地続きであると明言する。つまりオウムとて「かけがえのない私」の発見や魂の救済を目的とする上で、スピリチュアルと何ら変わりないと言う。
ただ、現在のスピリチュアルはもっともっと軽々しいものであり、その関心の方向性は「自分の趣味」にしかない。例えば著書は何百万部も売り上げ、毎回、かなりの高視聴率を稼ぎ、「日本で一番会いたい人」の一人である江原氏が「靖国ノー」と叫んだところで、何の問題にもならなった事実を指摘する。
要するにスピリチュアルブームを支えている「ハマる人たち」の関心は自分のオーラの色であり前世であり恋愛の行く末にしかない。所詮そんなものだと冷めたメッセージを受け取った。
スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)/香山 リカ
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あ、その、冷めたメッセージ、うち、ちょっと賛成。
昔は、うちも「スピ」や「占い」に興味があって、自分でも友達のことを占ったりしてみた(なぜか自分のことは、占えない。。。)けど、結局は、「今どうするか」をちゃんとみてないと、全部ままごとと、同じやと思う。
で、極めつけは、実際に「見える」友達が、「地に足をつけなさい」って言ってたのと、うちの娘、オーラが見えてたらしいんですが、「そんなの見えてもなんにもうれしくない!」って言ってたので、「そんなもんか。」と思うようになりました。