「聞き手を熱狂させる戦略的話術」二階堂忠春・田中千尋著

「オバマに学ぶNLPプレゼンテーション」とサブタイトルにある通り、本書はNLPのスキルを活用したプレゼン技法に関する指南書である。

私が言うのもおこがましい話ではあるが、非常によく出来た本だと感じた。

プレゼン技法を軸として、随所随所にNLPのスキルを挟み込み、NLPの初学者にとっても好都合な入門書となっている。

第一章では「アウトカムの設定」として、具体的な質問に答えながら、プレゼンの骨子を作っていく。

第二章では聞き手に言葉をスムーズに伝えるための「ラポール」の構築法に焦点を合わせる。

第三章では「代表システム(表象システム)」と「メタファー」で伝えたい話の臨場感を形成する。

第四章では「ミルトンモデル」を活用して、潜在意識にメッセージを送り込む言葉の使い方をマスターする。

第五章でも「ミルトンモデル」がテーマとなっているが、興味深いのは「ネストループ」を正面から取り上げたことであろうか。「ネストループ」は特定のメッセージを送り込むために、いくつかの別々の話を挿入しながら、最後には最初の話へときちんと着地させる高度な技法である。

もちろん達者なプレゼンテーターは無意識的にやっていることだが、その「カラクリ」をきちんと示しているところには目から鱗が落ちる人もいるだろう。

第六章では「アンカリング」によって聞き手に強い印象を与える技法を紹介する。

第七章では「ニューロ・ロジカルレベル」や「未来ペーシング」などを活用しながら聞き手に対する影響力を最大化する。

また各章にはそれぞれのスキルの解説がしてあり、初学者にも易しい構成になっている。そして最後にはオバマ大統領のスピーチに対するNLP的分析が施されてあり興味深い。

NLPの入門書として稀にみる良書だと言えよう。

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