オカルト本。
右脳を鍛えると、本のカバーだけで内容がわかるようになる、と言う。
「波動で情報が取れるようになる」そうなのだが、これが本当なら考古学者は要らなくなる。
波動で古代の情報を読み取ればいいのだから。
要するに何か特殊な方法を用いて楽に「天才(超能力者)」になれると思わせる、単なる詐欺的商法に過ぎない。
この著者が一貫して主張しているのは、「右脳」を鍛えれば優れた人間になり、幸せになれる、というもの。
このような主張は一部の「右脳信者」の心をとらえはするため、マーケティング上は成功していると言えるが、当然、すべてがデタラメとは言わないまでも、普通のリテラシーがあればバカげた主張であることは一目瞭然である。
速読に関して言えば、もしもこのような能力開発法が通用するのであれば、とっくの昔に一般の学習塾や受験予備校などで教えられるはずであるが、そのような話を聞くことはない。
ただ、本書について言えば、偏重した「右脳信仰」から距離を置き、一般的にリテラシーを持って読むと、それなりにうなずける部分もないわけではない。
例えば「右脳を開く三つの公式」の中で、「瞑想」、「呼吸」、「視覚化」の重要性を説いているが、別の言い方をすれば「リラックス」、「集中」、「イメージング」のことであり、右脳や左脳などの考え方にとらわれなければ、それらは普通に大切であり、生活の中に積極的に取り入れていいものである。
確かに能力が最大限に発揮されるのは、リラックスしながら集中した状態であり、物事が具体的なイメージとして見えてくる時であろうから。
本書は「読書法」の本と言うより、「七田式」の宣伝本である。
言うまでもなく、読書に大切なことは、本が好きであること、習慣、理解を補う体験である。
それだけで特殊な能力開発などせずとも、十分な学習能力を身につけることは可能なのである。
・本書は「速読法」の本ではなく、オカルト本である
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人生を変える100日ブログ :15日目