「コールド・リーディング」を日本に広めたのは石井裕之氏である。もともとニセ占い師であるとか、そうでなくともコミュニケーションの達人は意識的にせよ無意識的にせよ使ってk知あ手法であるが、石井氏によって概念化されたことで、使いやすくなったかもしれない。
しかし、それ以上に大きな貢献は、「コールド・リーディング」という手法を学ぶことで、ニセ占い師やニセカウンセラーから身を守ることができるということである。
これまでのコールドリーディングに関する一連の著書は、主に理論や背景、方法論などに紙面が割かれてきたようであり、たとえば二セ占い師から身を守る上では、それらを知ることで用は果たしてきた。本書はそこからさらに突っ込み、いわゆる「実践編」として位置づけがあるようだ。
もちろん本書を読んで人を騙そうというのではなく、コールドリーディングの手法を用いて、仕事やプライベートで必須である「人間関係」の良好な構築を目指すものである。
本書ではコールドリーディングの基本であり極意とも言える「ストックスピール」について、事例や例文とともに詳しく解説されてある。。
ストックスピールとは「誰にでも当てはまるような言葉」のことであり、たとえば、
「あなたは人から裏切られたことがありますね?」
ということなど、どんな人に当てはまるであろう。
もちろん大なり小なりであるが。そんな当たり前の話であるが、それなりに名のある占い師みたいな人から言われると、ついその気になってしまい、「あの占い師は当てた、すごい!」と言う話になる。
個人的によく聞くし、それなり使えると思っているものに、
「あなたは今、変化の時期ですよね?」
と言う言葉がある。
しかし、生きている以上、変化していない時はない。特に年末年始、年度替わりなどは誰もが具体的な変化を体験している。それでも、言う人が言うとコロリと騙されるものだ。
本書ではそのような事例が豊富に取り上げられているので、まずは読むだけでも、その感覚が身につくかもしれない。
さらに、例文を暗記しなくても、そしていかなる時でもとっさにストックスピールが使える技が新たに紹介される。それは「ライトハンドシステム(RHS)」と名付けられ、詳しくは本書を参照したい。
ちなみに相変わらず、コールドリーディングの関係書籍は出版が続いているが、よほどの世のニーズにあった概念なのであろうか。
ただ、人間関係を構築する上で、このような技術も入口としてはいいかもしれないが、本当に生きた人間関係を構築するためには、相手のことを真に理解しよう、思いやろうとする気持ちがなければならないことを肝に銘じて頂きたい。
当り前の話だが、何事もテクニックだけでは限界があるものだ。
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