「知的生き方文庫」という、駅のキオスクなどによく並べられてある、非常にライトなタッチの本であるが、中身は極めて実践的で充実している。たった12日間で「気」のエキスパートになれると書かれているが、あながち間違いでもなく、私自身、本書をきっかけに初めて「気」なるものに興味を持つことができた。
内容としては本書に書かれているエクササイズを毎日一章ずつ12日間やって完了という、極めてシンプルなものであるが、それだけに非常に奥が深い。実際、ひとつでも真面目にやってみると、その効果を体感することができるであろう。
本書で言う「気」とは「内的な力」のことであり、それによって病気の治癒、人間関係の構築、そして願望実現に至るまで、あらゆることが達成、解決されると言う。そしてその「気」とは「意識」にある。「意識」とは「左脳」のつかさどる結果であり、巷でよく言われるような「右脳」アプローチではなく、あくまで「左脳(意識)」の使い方によって、すべてを望みどおりに叶える「気」の力を引き出すのである。本書にはその具体的な方法論が、様々なケースにおいて紹介されている。
たとえば身体の不調を治すのにこんな方法がある。まず仰向けになってリラックスる。するとどこか違和感があることに気がつく。そこがいわゆる「邪気」であり、普段は無意識のうちに意識を向けないようにしているパートである。そしてその部分に「意識」を集中する。するとその部分に「気」が集まり、身体の不調が勝手に癒されていくという寸法である。
実に単純であるが、これが相当に効く。ところで本書を読むといろいろ気がつくことがある。ひとつはNLP(神経言語プログラム)に相当な影響を受けているということ。また、苫米地英人氏の本などを読んでいても、本書に書かれてあることと似ているか、ほぼ同じものが紹介されている。
昨今ではNLPや脳機能に着目した自己啓発が流行しているが、本書が発刊された2000年当初はまださほど類書がなかった時代である。つまり「気」という漠然とした、ある意味、まやかしのようなノウハウに見えるかもしれないが、「脳」の機能から見ると、非常に理にかなった方法であることが今なら理解できる。
ちょっと怪しいノウハウとしては10日目の「超能力法」というものがある。これはある手順(本書参照)に従って目の奥のぼんやりした光を見つけ出す。それに聞きたいことを聞けば答えが出てくると言う話。何とも怪しい感じがするが、今ならばこんな話もすっきると理解できる。
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