高校のクラスメートが書いた本。
「小麦アレルギーの長男の食事作りをきっかけに、自己流で米粉パンを作っては食べ、配合を変えてはまた作りと、この数年試作を重ねてきました。そして生まれたのが、炊飯器で作る米粉パンのレシピです」
と言うことで、もともとはデザイン関係の仕事をされていた多森氏が、その感性を生かして開発した「炊飯器での米粉パン」と、それを世に紹介するレシピ本。
実を言うと、私は「米粉パン」が大好物である。通常の小麦のパンの100倍は好きで、パン屋に行って売っていたら必ず買う。モチモチとかみごたえがありながら、決して固いわけでなく、味が奥からしみ出てくるような感触。しかも、砂糖など甘味がなくとも、それ自体にほんのりと甘みあり、食べ飽きない。
その米粉パンを自宅で、しかもどこにでもある炊飯器で作ってしまうこの創造力には脱帽。本書はもちろんプレーンの米粉パンの作り方に始まるのだが、いわゆる菓子パンから酒のつまみ、スウィーツ(笑)に至るまで、実に美味しそうな写真とともに紹介されている。
さっそく本書で紹介されている「リ・ブランの米の粉」を買ってきたがまだ作っていない。それはともかく私はこの「米粉」にはたいへん期待をしている。小麦に比べてアレルギーに強いのもあるが、味も米粉の方が数段上。さらに将来的には日本の食料自給率の向上にも寄与すると思われる。実際、ベトナムなど東南アジアでは、パンも麺も米からできており、とても美味しい。
現在、アメリカの小麦などの圧力で、日本国内の米や小麦の生産が制限されているが、日本にはまだまだ米小麦を生産する余力がいくらでもある。しかし、減反など生産規制によって、食料自給が下がるだけでなく、日本の農地・自然をも破壊することにつながる。
もしも「米粉」が小麦並に一般化すれば、パンやお菓子など加工品の販路の広がり、米が余ることもない。そして何より環境の保全や第一次産業の育成にも寄与するのである。つまりは「環境」と「経済」と「健康」のすべての面を一気に向上させるポテンシャルが米粉にはある。
現在のところ、米粉はまだまだ値段的にも高いので、一般家庭が日常的にばんばん使う習慣はないかもしれない。しかし、米粉のニーズが拡大し、そして将来的な食糧自給への危機感が高まれば、日本政府も米粉の生産に本腰をあげるだろう。
本書はまさに米粉のポテンシャルを再確認し、日本の将来を救うことになるかもしれない、その貴重な礎となるであろう。多森氏の今後の活躍をますます応援したい!
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