ビジネス書オタクである水野俊哉氏が、古今東西における150個の「法則」を一冊の本にまとめた。水野氏によると「法則」とは人生をショートカットするツールのこと。仕事や恋愛、人間関係など社会生活を営んでいると、様々な局面に遭遇する。その際、ある人はそれを難なく乗り越えることもあれば、別のある人はそれを越えられずに停滞してしまうかもしれない。その違い生み出すものの一つが「法則」であると言う。
たとえば組織を動かす際、なるべくなら全員を働きアリにしたい気持ちになる。その方が効果が高いと思うからだ。しかし、現実にはそうではない。一生懸命に働く社員とそうでない社員が存在するものだ。人によっては働かない社員に対して、イライラすることもあろう。しかし、ここで「働きアリの法則」を知っていると、それぞれ2割の働きアリと働かないアリが普遍的に存在することを受け止め、働かないアリに対して余分なエネルギーを注ぐ必要もなくなるだろう。
つまり世の中の「法則」とは場合によっては、知っている知らないだけで、その時々の状況、ひいては人生全体をガラリと変えてしまう可能性があるのだ。
本書は「職場の法則」「仕事の法則」「ビジネスの法則」「勉強の法則」「心の法則」「成功本の法則」と6つのパートにわけて、それぞれに関連する「法則」が紹介されている。中には誰もが知っている有名な「法則」もあれば、非常にマイナーなものまでカバーされてある。
本書の欠点があるとすれば、それぞれの「法則」についての説明が簡単過ぎることであり、たとえば「社会的証明の法則」などは、その出典の中においては非常に多くの説明がなされた項目である。しかし、本書の目的は、特定の「法則」にのみ焦点を絞って、懇切丁寧に紙面を割くことではなく、まさに「トリセツ(取扱説明書)」とあるように、辞書的な使い方が本来であろうから、その批判は批判に値しない。
特定の法則に関心がわけば、出典となる本を読めばいいだけの話であるから。しかし、本書一冊で、ビジネスシーン等で必要となる「法則」を網羅しているため、話のネタとしてもうってつけであろう。
企画書や商談など本腰を入れるシーンにでも重宝するであろうが、何よりも、知っているだけで相手からは「使える人間」と思われること請け合いである。会社の女の子にさりげなく話すだけでも、見方が変わるかもしれない。
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