「なぜ、追いつめられたネズミはネコに噛みつくのか?」溝口耕児著

 近頃、NLPやメンタル関係の仲間の間でちょっと話題になっていたので、騙されたつもりで購入。

 内容としては「潜在意識」の力を活用せよ、というような、一般的な自己啓発本ではあるのだが、本書ではさらに深く「超意識」という言葉を提示している。

 もちろんここで言う「超意識」もいわゆる「顕在意識」対する「潜在意識」の一部分ではあるのだろうが、いわゆる「本当の自分の力」として「超意識」という定義を持ってきたのは、なるほどと感じさせる。

 まず前提として「超意識」はすべての人に備わっているということ。

 例としては、震災時に何トンもの壁を持ち上げてわが子を救ったお母さんの話。小柄な女性には普通は100キロだって持ち上げられないはず。

 それでもわが子を救うという窮地においては、信じられないパワーが引き出されることもある。いわゆる「火事場のばか力」のこと。

 さらにイチローやタイガーウッズにしても、なぜあれほどの尋常でない活躍ができるのか。それは彼はら試合中に「超意識」を使っているからだとする。

 せっかく備わっている「超意識」を使わずにいるのはもったいない。そのような視点から、本書ではその「使い方」まで、懇切丁寧に紹介される。

 まず「超意識」を出にくくしている原因としてあるのが、3~14歳の間にプログラミングされた「ブレーキ癖」。

 親をはじめ大人からはしきりにあれダメ、これダメと言われてきたであろう。

 それはもちろん子どもを危険から守るために必要な言動であろうが、ダメと言われ続けることによって、本来は危険でも何でもないことまでブレーキを踏んでしまう癖がついたと言う。

 もちろんそれは悪いことばかりではないのだろうが、「成功する」と言うことについても、アクセルでなくブレーキを踏んでしまうものである。

 わかりやすい例をあげれば、「独立して成功する」という目標があったとしよう。

 そのためには会社を辞める必要があるのだが、辞めたら生活できなくなるかもしれない、という恐怖がブレーキとして働く。

 そこでグアクセルを踏んでいれば「独立して成功する」という目標に達しているかもしれないのに、なぜかブレーキを踏んでしまう。

 しかしこれは当然と言えば当然。しかし世の中にはブレーキを踏まない人もいる。

 だからこそ成功するのであり、そういう人こそが「超意識」の使い手と言えるのだろう。

 ではどうすれば「超意識」を引き出せるのか。

 一番簡単なのが「極限状態」に置かれるということ。それこそ生死に関わるような状況に置かれると、知識や経験を超越した「力」が働く。先ほどの何トンもの壁を持ち上げたお母さんのように。

 実際、アメリカのセミナーでは、一種の「極限状態の疑似体験」をさせるものも多いと言う。

 目隠しをして15メートルのロッククライミングをさせたり、他の参加者の支えのみで、テーブルの上から後ろ向きに倒れてみるとか。

 そして実際、体験すると、大泣きしてブレーキが外れるのだとか。確かにラディカルな方法ではあるが、ものすごく効果的かもしれない。

 実際、アメリカの自己啓発セミナーは、ほとんどがワークを中心に進められ、話を聞くだけというのは少ないそうだ。

 本書によると、意識には4段階あって、普段意識している「顕在意識」、行動パターンや癖などの「無意識」、幼少時から少しずつプログラミングされて自らのパーソナリティを形成する「潜在意識」、そしてその下に生まれながらに持っている生命維持装置として「超意識」があると言う。

 その4つの「意識」は一本のパイプでつながれており、奥に行くほどパイプの詰まりがひどく、通常は「顕在意識」と「無意識」を行ったり来たりするに過ぎないと言う。

 だとすれば、「顕在意識」から「超意識」までのパイプをすっかり掃除してしまえば、文字通り、いつでもすごいパワーを発揮することができるし、自分の思いのままの人生になるわけだある。

 ブロックが厚い人は、そのパイプの詰まりが厚い人と言える。

 そしてその詰まりを掃除することを怠っているがゆえに、いつまでたっても同じことの繰り返し、望まざる自分に留まってしまうのだろう。

 本書はその「パイプの詰まり」を掃除するためのノウハウが紹介されているのだが、実は誰でもパイプの詰まりが全くない時期を経験している。

 それは言うまでもなく幼児期である。その後、あれダメ、これダメという禁止ルールによってパイプはどんどん詰まってしまうわけだが、もし、本当に自分の人生を歩みたいのであれば、その「詰まり」はどこかで掃除する必要がある。

 もしかしたらそれは今かもしれないし、来年かもしれないし、もしかしたら詰まったまま生涯を終えるのかもしれない。

 いや、むしろ詰まったままの人がほとんどかもしれない。

 ということは、人生成功の秘訣は「4つの意識」の「パイプの詰まり」を掃除することだと単純化することもできよう。

 本書では12週間でそれを実行するためのプログラミングが組まれており、それを忠実に実行すると、12週間後には自動的に「超意識」が動き出し、「なりたい自分」に近づいていくことになる。

 具体的な方法については、本書に譲りたいが、この12週間のプログラムはなるほどと思わせられる部分も多い。

 また、奇をてらったものではなく、非常に常識的、合理的なプログラムだと思われる。

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