なんと「結婚」と「成功」の関連についての斬新な指南書である。
表紙には「なぜ、結婚すると仕事が成功するのか?」と興味を引く言葉が添えられている。
確かに、結婚、円満な夫婦関係は仕事の成功と両立しえないと考える人も少なくないであろう。
ある意味、結婚と仕事の両立は努力目標であり、理想論の一つに過ぎないと思う人もあるかもしれない。
しかし本書では「幸せな結婚」こそが「仕事の成功」の条件であると主張する。
現にアメリカの億万長者は、離婚大国と言われる文化にありながらも、ほとんどの億万長者夫婦が幸せで円満な夫婦関係にある事実があるようだ。
本書で言う「マリッジ・プレミアム」とは「健康」「お金」「才能」のことであるが、それぞれ「幸せな結婚」をしている夫婦とそうでない夫婦とを比べた場合、前者の方がその3つを実現しやすいという証拠を、様々な事例を通して紹介する。
では「仕事に成功」する「幸せな結婚」とはいかなるものか。
どうすれば「幸せな結婚」をしてマリッジ・プレミアムを手にすることができるのか。
それを述べる前に「夫婦」における4つのステージを提示する。
一つ目が「幻想夫婦」。これはパートナーに夢中になり過ぎている、いわば過剰愛情の状況である。ここでは文字通り仕事が手につかない。
二つ目は「戦国夫婦」。パートナーに対するある種の失望感を抱いている状況で、パートナーにあれこれと要求したり不満をぶつけたりする。これはストレスがたまる。「幻想夫婦」の反動であろうか。
三つ目は「調整夫婦」。文字通り夫婦関係を調整する段階である。「戦国夫婦」から抜け出し、お互いよりよい関係を築こうと学ぼうとする。しかしそれだけでは成功に結びつく「幸せな結婚」とは言えない。
そこでマリッジ・プレミアムを手にする最後の段階が「共鳴夫婦」である。そしてこれこそが本書の目指すべき方向となる。
「共鳴夫婦」の段階に達するとどうなるのか。まさしく「結婚」と「成功」が両立する状態であり「健康」、「お金」、「才能」のいずれも面においても開花していく。
本書ではそのような「共鳴夫婦」にあるいくつかのカップルを紹介し、そこに共通する特徴を紹介する。
いくつかの特徴があるが、最も重視すべきは夫婦としての時間、つまり「今」を大切にしているということであろうか。
本書の後半ではまず「戦国夫婦」から「調整夫婦」へ移行するためのアクションプランが提示され、最後に「共鳴夫婦」を維持するためのステップに進む。
そのステップは7つあり、いずれも「人間として当たり前」のことではあるが、夫婦という近しい間柄であるがゆえに、なかなか実行できないものもある。
しかしいずれのステップについても、重要なことであり、時には見直し、思い切って実践する勇気を持つことも大切だ。
それが「勇気」でなく「当たり前のこと」となれば、その夫婦は立派な「共鳴夫婦」なのであろう。
ちなみに101ページに4つのいずれのステージにいるかのチェックシートがあるが、私に関して言えば、現在は「調整夫婦」と「共鳴夫婦」の中間にいることがわかる。
付き合うようになってもうすぐ6年。結婚して5か月の今。
しかしまだパートナーはチェックしてないので、どんな結果になるのか気になるところである。
少なくとも「戦国夫婦」でないことを祈りたい(笑)。「幻想夫婦」の段階でないことは確かだが。
ともあれ、世に数多ある「成功哲学」の中でも「結婚」に焦点を絞った点で、非常に斬新であり、成功のための重要な側面を改めて認識することができる。
極めて示唆に富む一冊である。
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