■売れないコーチとセラピスト

こんばんは、行動強化コンサルタントの石田久二です。


コーチやセラピストにしばしばいらっしゃるのが、クライアントを「変えよう」という姿勢でいる人。確かにコーチングやセラピーを受ける理由は本人が変わることです。しかし、コーチやセラピストがクライアントを変えることができるのは、双方の間に確たるラポール(信頼関係)が築かれたときに限ります。
例えば見も知らぬ人から、

「私はあなたを変えてあげます」

と言われたらどう思うでしょう。私はすごく嫌な気がします。だって婉曲的に「ダメだし」されてるだけじゃないですか。確かに私だって完璧ではないし、それどころか未熟なところばかりです。だからこそ学び成長したいのですが、それでもあからさまに「変えてあげます」と言われたら「何さま?」と思いますよね。


以前、あるセラピストが、私の知人に対し、いないところで「あの人を変えてあげたい」と訴えていました。だけど、その時点でそのセラピストは「売れない」と思ったし、それ以前に「効果ない」と思いました。


実のところ変わるかどうかは本人次第なのです。本人が変わろうと思ってない以上、周囲は何をやっても言っても変わりません。確かにダメダメに見える人だっているし、できれば変わった方がいいとさえ思う人もいます。


それでもその人の「潜在意識」はどこまでもベストを尽くしているのです。それは自分を守る意味で、つまり自分を変えないためにベストを尽くしているのです。だけど、人は変わることがあります。それは、自分の「意識」が強く強く変わりたいと願ったとき。


私もコーチのはしくれです。コーチングで人を変えることは難しくありません。だけど、それは相手(クライアント)が本当に変わろうと思ったときに限ります。例えば、ある人の親御さんが、その子に対して「息子を変えてあげて」と言われても、私にはできません。もちろん何らかの影響を与えることはできるでしょうが、最初から「変える」ことはできません。ただし、その子本人が本当に「変わりたい」と思ったのであれば、話は別です。


潜在意識が最も抵抗するのは変わることです。なのに、いくらコーチやセラピストであっても、最初からその人を変える姿勢でいれば、抵抗されて当然です。本当に変えることができるのは、その人との間に「ラポール」が築かれたときのみ。


本人が本当に「変わりたい」と願うまで、そしてその人との間に確たるラポールが築かれるまでは、私は周囲がどんなに言おうと、その人を変えるつもりはありません。なぜなら、そもそも人は他人を変える必要はないのですから。本来、他人に対してできることは「承認」のみ。常に「承認」の姿勢で他人を見て、その上でご相談があったときだけ、変わるための話をするのみです。


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