「すごい実行力」石田淳著

 三日で結果を出す。極論に聞こえるが、もちろんそうではなく、非常に常識的な見解である。

 もちろん「結果」を望ましい「成功」と考えるのは、極論であろうが、変化を起こすと言う意味では、決して言いすぎではない。

 本書は「行動科学マネジメント」という耳慣れないノウハウにもとづいた、タイトル通り「実行力」を高めるための本である。

 誰もがいち早く「結果」を手にしたいとは思うだろう。

 しかしそれは「行動」の結果であり、何もせずに望ましい「結果」を手に入れることは難しい。

 本書の特徴はあくまで「行動」にフォーカスすることで、「結果」についてはそこまで拘るものではないとする。

 つまり正しい方法で「行動」さえきちんと続けてれば、望ましい「結果」は自ずと追従するということだ。

 その継続した「行動」のためのコツを紹介するのが、本書の主だった役目である。

 例えば「実行力」をアップするには、行動したくなる「動機」が必要である。

 「家族との時間を増やしたい」という動機があれば、無駄を省くという行動が結びつくように。

 しかしその「動機」が明確でない場合はどうすればいいのか。簡単な話であり、その「動機」を作ればいいのである。

 その方法の一つとして、「行動」に対する測定をする。

 例えば行動すればチェックリストに丸を付け、その丸の数を増やしていく。

 これも立派な行動の動機である。できる営業マンは契約数ではなく訪問数にこだわると言う。つまり訪問数を増やすこと。これも立派な行動の動機である。

 このように本書は「成功」「結果」の元となる「行動」の力を強化するための、ノウハウが事細かに紹介されてあり、確かに読むだけで「実行力」はアップするかもしれない。

 現に私のことで言えれば、本書を読んで「行動チェックリスト」を作るようになったが、確かにこれで自らの行動様式が一目瞭然となり、行動の管理や反省がしやすくなった。

 まさしく「行動マネジメント」である。

 まずは「結果」ではなく「行動」にフォーカスする。すると望ましい「結果」は必然的についてくるのである。

 本書は500円の文庫であり、値段の割には内容が恐ろしく濃い。

 やりたいという気持ちはあるんだけど、なかなか行動が伴わない、、と悩む人は、ともあれ一読を勧めたい。

すごい「実行力」 (知的生きかた文庫)/石田 淳
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