この度、五日市剛氏の小冊子「ツキを呼ぶ魔法の言葉」が100万部を突破したそうだ。
一般書店での販売はされず、口コミだけで100万部。すごいことだ。
本書はその「ツキを呼ぶ魔法の言葉」を医師である矢山利彦氏とともに科学的(?)に検証しようというもの。
まず「ツキを呼ぶ魔法の言葉」とは何か?
簡単に説明すると、五日市氏の実際の経験談を元に、と言うか、経験そのものである。
学生時代、旅先のイスラエルで危うく路頭に迷うところを、魔法使いのようなおばあさんと出会い、一晩泊めてもらうとともに、不思議な話を聞いた。
これが「ツキを呼ぶ魔法の言葉」である。つまりはいいことがあれば「感謝します」、嫌なことがあれば「ありがとう」と言うことで、人生は好転すると言う、まさしく「魔法の言葉」である。
五日市氏は実際に「魔法の言葉」によって暗澹たるそれまでの人生を劇的に好転させたそうだ。
そしてその効果は五日市氏に限ったことではなく、多くの人が経験することとなり、「魔法の言葉」によって人生を好転させた人のなんと多いことか。それは小冊子の売れ行きを見ても一目瞭然だろう。
本書では「魔法の言葉」のキーを「感謝」に置く。
ここで医師である矢山氏の登場である。矢山氏は「気」の研究家でもあり、「感謝」と「気」の関係をここで解き明かす。
矢山氏は、「気」が最も高まっているのは感謝している時と、クリエイティブな活動をしている時だと言う。とりわけ「感謝」については「ありがとう」と言葉にする、さらに感情がこもることで、「気」は大きく高まる。
そこで「気=感謝力」を高めるエクササイズとして「感謝の瞑想」が提案される。
それは男性なら父親、女性なら母親に対して、幼少期から自分にしてくれたことを思い出して感謝するエクササイズである。
これを続けることで、ある時、嫌だった人が嫌でなくなったり、何事にも肯定的に取り組めるなどの変化が訪れるのだと言う。
「何事にも感謝すればよい」ということは、誰もが幼少時から教えられてきたことであろう。
キリスト教圏ならば神への感謝、日本でもご先祖様への感謝など、日常生活の中にも取り入れられてきたことである。
ただ、人はやはりいざと言うときには感謝を忘れるし、「魔法の言葉」のような嫌なときに「ありがとう」とはなかなか言えないものである。
本書のテーマは「ツキを呼ぶ魔法の言葉」の「検証」である。
「検証」と言うからには「科学性」がなければならないし、そのためには「再現性」が要求される。
それを解明する糸口となるのが、アメリカの医学界でも認められている「キネシオロジー」である。ここでは「筋反射」という手法により、感謝している時と、不満を思っている時の筋肉の状況を測定する。すると多くの場合、感謝の時は筋肉が強まり、不満の時は弱まることが確認される。
将来的には脳科学者の研究によっても「魔法の言葉」の効力が実証されることが期待される。
また、本書において興味深いのが後半に収録されている五日市氏と矢山氏の対談である。
ここでは「魔法の言葉」と「密教」の関連についても考察される。
五日市氏は願いを叶えるには「想い」と「言葉」を同じレベルにして、具体的な「行動」を取ることが重要であると言う。
つまり「想い」と「言葉」と「行動」の一致である。それはすなわち弘法大師空海の説いた「三密」につながる話でもある。
「三密」とは「身(身の行い)」、「口(口にする言葉)」、「意(心の動き)」を浄化して、一点に集中させることで、宇宙のエネルギーが取り込まれるとする。
それが真言密教の修行の目的であるが、それを日常版にすると「行動」と「言葉」と「想い」に「気」を込めることだと言う。
それにより「物質次元」の奥底のエネルギーにアクセスし、結果である現象面をも変化させるのであろう。
ややもすると精神的、宗教的な取扱いに限定されがちな「感謝」の効力を、科学レベルにまで検証のメスを入れると言う意味で、非常に興味をそそられる。
もちろん研究自体はこれからの発展が望まれることであるが、誰もが願ったことは叶えられる、幸せになれるのだと言う、力強いメッセージ性が感じられる一冊である。
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