「世界一簡単に自分を変える方法」白石謙二著

 著者はヴォイスティーチャーの白石謙二氏。

 ヴォイストレーナーではなく、ヴォイスティーチャー。違いはトレーナーが主に歌うことを目的として声をトレーニングするのに対し、ティーチャーは「発声・活舌・表現力」を自分自身の見せ方まで含めて指導する話す声の教師であると言う。

 本書はまさしく、単なる声のトレーニングにとどまらず、声を切り口として自分自身を魅せるための総合的な手引書であると言える。

 そして声を取り扱う以上、「音」が不可欠である。

 親切なことに著者自身の吹き込みによるCDが付属されており、読むだけでなく、CDを聞きながら実際に声のティーチングを受けることができる。

 著者の声は明るくハキハキしていて、聞くだけで元気が出る。

 本書のテーマは声を変えることで人生を変えるというもの。

 確かにどんなに優秀であっても、声一つで判断されてしまうこともある。それはビジネスシーンであっても、日常生活であっても。

 実際、欧米では「話すための声」をトレーニングすることは、常識になっているようで、その点、日本では本当に数少ない総合的な声の専門家であると言えよう。

 本書は3つのパートに分かれており、パート1が言葉と声を磨くための基本トレーニング。いわゆる話すための発声の基礎を習得する。

 パート2はプレゼン、指示、褒めるとき、電話、注意、異性と話す、挨拶など、各々のシチュエーションに応じた声と話し方を習得する。

 パート3は仕事やプライベートで使える話し方の上級編を習得する。

 また、付録として、顔も声も良くなる顔面トレーニングの方法までもが紹介される。

 難しい理屈はほとんどなく、一気に読み進めることができるが、あくまで本書は声のトレーニングの書であるため、エクササイズを実践しながら進めると、簡単には終わらない。納得するのではなく、実践するための書であるから。

 そこでCDに従ってトレーニングを行ってみた。呼吸法に始まり、母音の発声、子音を中心とした活舌の向上、さらに褒め方や挨拶、言葉を伝えるコツなど、実際に耳で聞きながら進めることができる。

 なるほど、効果がよくわかる。声一つとっても、用途に応じいろんな使い方があることがわかるし、著者に従って同じように真似してみると、違ったパーソナリティを演じることができる。あとは習慣の問題であろう。

 声が人生を変える。あながち極論でもなさそうだ。

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