■苦しみの三つの特徴

こんばんは、行動強化コンサルタントの石田久二です。
毎月購読している「致知」の3月号にアルピニストの栗城史多さんのインタビュー記事が掲載されていました。テレビやネットで何度か拝見したあるし、実は音声CDも持っていて時々聞いています。密かにファンです。
  
29歳の若さながら8000メートル級の山を3座、単独・無酸素で登頂されています。現在、世界最高峰のエベレストの登頂にチャレンジされています。映像など見ても、もう、頂上が見えてるのに体力の限界で一歩のところで断念。子どものように号泣する栗城さんを見て、私も何度も目頭を熱くしました。すごく本気なんだな、と。
しかしこの手の登山はとにかくお金がかかります。しかもインターネットで実況中継しながら登るものですから、その機材など合わせると億単位のお金が必要となるそうです。一つの冒険にかかる費用はサラリーマンや一介の起業家では普通出せません。植村直巳さんもそうでしたが、その冒険は強力なスポンサーがついて初めて成り立つもの。
そしてしばしばこんな揶揄を飛ばす人がいます。「オレだって、お金出してくれるなら登れるよ」と。私も以前、24歳で世界一周した時、30代、40代以上の社会人の方から、「オレも若かったら言ってると」と何度か言われたことがあります。また、私は20歳前後でかなり哲学書を読んでいたのですが、それを知ったちょっと上の社会人から「オレも若かったらもっと勉強してるよ」と言われてました。
勉強だって世界一周だって、やろうと思えばいつだってできるはず。「若ければ」というのは、しないための言い訳に過ぎません。同じように「お金出してくれるなら」も単なる言い訳。と言うか、そもそもやる気もないと思います。「~ならば」という条件を付けて、自分を少しでも上に見せようとしているだけ。
このインタビュー記事を読んで私が一番ヒットしたのが、栗城さんスポンサーを飛び込み営業で探すところから始めたこと。当然、断られまくるのですが、それでもあきらめずに何度も何度も足を運ぶ。すると、前に断られた企業から応援してもらえることもある。テレビで栗城さんを見た人が、感動してお金を出してくれることも。
8000メートルの山は明日からすぐには登れません。だけど、スポンサーを探すための飛び込みは明日からすぐできます。それをやるかやらないか。栗城さんはそれをやったからこそ、冒険のパスポートを手に入れたし、そして実際に登頂に成功するんだと思います。山に登ることも苦しければ、資金を集めることも苦しい。そこで栗城さんは「苦しみ」には三つの特徴があると言います。
一つは、「苦しみと闘おうとすればするほど、その苦しみは大きくなっていく」。もう一つは「苦しみから逃げても、どこまでも追ってくる」といいうこと。闘っても逃げてもダメ。じゃあどうすればいいのか。それは受け入れること、感謝することだと言います。
すると苦しみの特徴の三つ目である、「苦しみは必ず喜びに変わる」ということを実感するそうです。やっぱりそうなのか。生きてると必ず苦しいことはある。特にチャレンジには苦しみが必然。そこで一番大切なのは「感謝」である。私もすごく実感できます。
真冬に滝行をすると、とにかく苦しい。大声を張り上げたりして、滝と闘おうとする。すると喉をつぶしたりなど、苦しみは増すばかり。私も扁桃腺をやられて一気に熱を出したこともあります。そして次の段階では、滝から逃げる。正確にはいろんなテクニックを使って滝の苦しさを消そうとする。一瞬、逃げられたと思うことはあれど、根本的には何も解決していないことに気づく。
滝行を初めて5年目の冬だったと思います。何やっても苦しいから、いっそのことあきらめちゃったんです。とにかく力を抜くだけ。なすがまま。すると不思議なことに、いつもの苦しさがない。あれ?と思って、翌日も同じようにあきらめてみる。すると、苦しさがなく「喜び」だけが残っていることに気づくんです。
人生と一緒だなと気がついたのです。登山も滝行も、そして人生も、通じるところは一つなんです。そしてそれは「感謝」にすべて収束する。そんなことを改めて思い出させてくれる記事でした。


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