■大いなるプラシーボ効果

こんばんは、石田久二です。
私の身近にはいわゆる「代替医療」に従事していたり、関心を持っている人が非常に多いです。私もその一人です。代表的には、整体、鍼灸、レイキ、ヒーリング、ホメオパシー、キネシオロジー、リフレクソロジー、アロマ、カイロプラティック、健康食品など。
現代の医学のメインストリームが「西洋医学」であることは事実ですが、もちろん西洋医学とて完璧ではない。もちろん完璧を目指して、これからも進化発展していくのでしょうが、「代替医療」には西洋医学の欠点を補うための、「代替・補完」の役割は大いに期待されるところです。
ただし、しばしば見られる「西洋医学の否定を前提とした代替医療」については、厳しい態度で見る必要があります。西洋医学は徹底した「自己否定」によって発展しながら、実は代替医療についても柔軟に取り入れてきた歴史があります。つまり非常に間口が広い。
一方で、一部の代替医療の中には西洋医学のネガキャンによってしか、そん存在意義を主張できないものもあります。顕著な例として、一部の健康食品会社などがあります。多くは西洋医学の欠点を拡大洗脳し、例えばワクチンでも打とうものなら自殺行為かのように煽りたてます。その恐怖心に付けこんで、自社の製品を売り付けるの常套手段。「西洋医学=悪(陰謀)、自社の製品=善(悲劇のヒーロー)」の図式す。
この辺りのことを言い出したら話がどんどんそれそうなので今日のテーマについて。代替医療の中には目に見える効果があるものも存在する一方で、いわゆるプラシーボ効果(偽薬効果・心理効果)としか説明できないものもあります。と言うか、プラシーボ効果なしで成立する代替医療の方が少数派でしょう。
例えば伝統的な代替医療である「鍼灸」でさえもプラシーボでしかないとの見方もあります。日本では、鍼灸は市町村単位で保険適用をされるケースが多いのですが、それでも「公的」に認められた療法であることはまちがありません。
正直にプラセボを使う/NATROMの日記によると、鍼を施したグループとそうでないグループとでは、確かに前者において特異的効果が見られたものの、いわゆる正しいやり方とそうでないやり方で試したところ、そこに有意な差はなかったことが報告されています。
つまり、鍼それ自体の効果ではんなく、「鍼を施した」という演出に意味があったのであって、その意味では鍼灸も立派なプラシーボであると言えるわけです。しかし、患者サイドからすれば、メカニズムはともかく効果があればいいのだし、実際、私も花粉症の症状を抑えるのに鍼灸が一番効果的だと感じています。
ですので、毎年、花粉症の症状がちょっと苦しくなれば、薬や注射に頼るのではなく、鍼灸で季節が終わるまで持ちこたえています。と言うことは、鍼灸が科学的にプラシーボと言われようが、私には鍼灸を選ぶ合理的な理由があるわけです。
ただ、引用先のブログによると、それはそれでいいのだけど、医師の誠実性及びインフォームドコンセントの観点から、プラシーボであると正直に伝える必要があるのだけど、そうなると効果が弱くなるというジレンマが生じると指摘されています。
これは確かにそう。うどん粉を丸めただけの錠剤を、「すごい新薬だ」と言って飲ませると、そのまんまプラシーボ効果で効くことはあるのでしょうが、誠実に「ただのうどん粉です」と言って飲ませても、効果はほとんどないでしょう。
では、ただのうどん粉と、鍼灸とはどう違うのか。それはいわゆる「儀式(セレモニー)」にあるのだと考えます。鍼灸の場合、あの神秘的な、そしてエキセントリックな施術法そのものが、患者の内的世界(内部表現)を書き換え、それによって治療効果が現れる。
ですので、鍼灸の施術者は、私服やネクタイ姿などで行ってはなりません。白衣か、または多少怪しいくらいのスタイルでやる方が効果的でしょう。また、宗教的な「呪術」であっても、効果のある人には効果があります。それこそプラシーボそのものであるにも関わらず。だけど、その呪術者はできるだけ怪しい格好をして、神秘性を最大限に演出する必要があります。
つまり「制服」もまた患者の内的世界に大きくコミットするツールであり、実のところ、それは西洋医学の医者であっても同じこと。西洋医学の場合はもちろんその効果効用は客観的に担保されたものですが、その効果を高めるには白衣であることがベターには違いありません。
話を戻しますが、プラシーボであろうがなかろうが、患者にとっては効けばいいだけであり、誠実さとのトレードオフはあるかもしれませんが、「効果」を最大化するための演出は必要だと思われます。
ただ、そもそも「プラシーボ効果」という言葉自体にネガティブな響きがあるのではないでしょうか。もしこれを「ビリーフチェンジ効果」などと言い換えるだけで、随分と印象は違います。例えば、ホメオパシーのレメディも科学的にはプラシーボであると結論されていますが、それが西洋医学否定と結びつかない限りにおいて、「ビリーフチェンジの効果がある」とうたって積極的に用いていいと思うのです。
「これはプラシーボです」も「これはビリーフを変えます」も意味は同じですが、印象は違います。そして人は内容そのもの以上に、「印象」に大きく左右されるもの。ものは言いよう。多くの代替医療はメンタル(スピリチュアル)と結びついてることが多いので、「プラシーボ」という言葉を言い換えるだけで、誠実さを失わずに効果を高めることができるのではないでしょうか。
つまり、代替医療従事者にとって重要なのは、「言葉に対する感受性」と「自己演出力」なのです。そして、しつこく繰り返しますが、それが西洋医学否定と結びつかない限りにおいて、もっと開き直ってガンガンやっていいじゃないでしょうか。



<○×計画29>3/7(×早起き、お菓子、執筆、愛と感謝)
<愛>??
<感謝>??


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