■二人称を識別できない脳

こんばんは、石田久二です。
人間の脳に興味があって、いろいろ本を読んだりして勉強しています。ところでしばしば「潜在意識には二人称がない」って話を聞くことがあるのですが、これは脳科学的にも正しいようです。脳の機能とは「大脳」と「小脳」と「脳幹」の三つの脳がネットワーク化された状態を言うようですが、それぞれの役割は、
・大脳:知性と情動
・小脳:運動神経
・脳幹:生命維持

を担っているそうです。この中で「私」と「あなた」を区別できるのは、実は「大脳」の、それも俗に「知性脳」と呼ばれる「大脳新皮質」のみなのです。この脳は最も人間らしい脳と言われており、冷静客観な思考をつかさどり、科学や文明社会を発達させてきました。
科学が科学であるためには、「人間」と「自然」を切り分け、「私」と「あなた」を分けて処理することが重要です。顕著なのが医学です。医学では「医者(私)」と「患者(あなた)」を分けて考えなければ、身体にメスを入れることなどできませんし、ある意味、「患者(あなた)」を「モノ」のように扱うことが求められています。
それに対して「大脳」の、俗に「情動脳」と呼ばれる「大脳周縁系」以下の脳は、感情、感覚、本能などをつかさどり、もっぱら人間(動物)の基本能力を担当しています。
例えば映画を見て感情移入してしまうのも「大脳周縁系」の機能によります。「大脳新皮質」では「私」と「あなた(映画)」が別物であることを知っているのに、あまりにもインパクトなる映画になると、「大脳周縁系」が作動して、映画の中と同じように涙を流したり、怒りを覚えたり、笑ったりします。そこでは「私」と「映画(あなた)」の区別がないのです。
私たちは普段、知性的(意識的)に生きていると思うかもしれませんが、言うまでもなく私たちの行動のほんとんどを無意識が担っています。つまり大脳周縁系以下の脳がそれ。私たちは意識せずとも、大脳周縁系以下の脳がしっかり働いて影響を及ぼしているものなのです。
つまりは、私たちは意識的には「私」と「あなた」を区別しているようですが、無意識的にはまったく区別できていないのが、脳の機能から見ても明らかです。と言うことは、、、普段から人の悪口を言ったり、人を罵倒したり、人を深いにさせる言動をとっていたら、「無意識」では自分自身を傷つけていることにもなります。
例えば他人に「バカ」と言えば、自分に「バカ」と言ってるのと同じだと無意識は判断するのです。でも逆に他人に褒めたり愛したりしていると、それは自分を褒め、愛することにもつながります。そしてそれらが蓄積されると、そのまんまセルフイメージにも影響するわけです。
ようは、人の悪口ばかり言う人にセルフイメージが高い人はいないので、そんな人を見かけたらちょっと可愛そうに思うくらいでいいでしょう。それよりもまずは自分。やっぱり普段から他人に親切にし、尊重するようにすれば、それはゆくゆくは自分のセルフイメージを高めることにもつながります。
だからこそ、成功者は人の悪口を言わないのです。


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■二人称を識別できない脳 への4件のフィードバック

  1. きんたろう のコメント:

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    ぐちや人の悪口は、不運のもとと言わないように心がけています。ただ、会えば愚痴と誰かの悪口を言う友人が、こんなご時世に転職はすいすい決まるし、掘り出し物のマンションを見つけ、例えばAKB48の誰かとつき合っちゃうような(実際はAKB48ではありませんが)幸運に恵まれているのは
    不思議です。

  2. 石田久二 のコメント:

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    >きんたろうさん
    その方はそれだけ行動力があるし、いろんな意味で魅力的だからではないでしょうか?

  3. きんたろう のコメント:

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    考えてみると、
    おっしゃる通り
    たしかに行動力があります。
    そして、嗅覚でしょうか。
    上司の悪口を言いながら、
    その奥様に取り入る。。。。
    いいところは、真似してみます。

  4. 石田久二 のコメント:

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    >きんたろうさん
    なるほど、嗅覚ですね。興味深いです。
    ちなみに嗅覚は他の感覚よりも脳の支配を受けないため、言い得て妙かもしれませんね。

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