ユリゲラー、清田益章、ロバート・モンロー(ヘミシンク)、バグワン・シュリ・ラジニーシ、スタニスラフ・グロフ、ケン・ウィルバー、ニール・ドナルド・ウォルシュ、そして山川紘矢・亜希子など。
本書のタイトルだけ見ると「現在スピリチュアル批判」ように思われがちだが、必ずしもそうではない。ジャーナリストらしく、極力主観を排し、きちんとした取材を重ねながら、現代の「スピリチュアリズム」について探求している。
その取材対象として興味深かったのが、かつて超能力少年としてマスメディアに祭り上げられた清田少年、バグワン・シュリ・ラジニーシの著書を日本に紹介した和田禎男、そして日本にスピリチュアル本を次々と翻訳紹介した山川夫妻について。
まず清田少年については、様々なメディアで取り上げられ、大部分から「インチキ」として片づけられ、その後も麻薬所持で逮捕されるなど、過去の人扱いされ、アンチスピリチュアルの連中からは「してやったり」と思われている。
私も本書を読むまでは単なるインチキ超能力者とみなしていたが現実はそうでないようだ。ある番組にて動物実験のようにホテルに缶詰めにされ、あまりのストレスのためスプーン曲げさえもできなくなる。それは超能力に限らず、普通の仕事でも調子悪くなることがあると言えばその通りで、その言及がゆえに逆にリアリティを感じさせた。
結局のところ、「できない」と言うと、プロデューサーから「困る」と言われ、やむなく手で曲げたところ「だけ」をクローズアップされて、いつの間にか「インチキ暴露番組」に変わってしまっていたのが事の顛末である。ある意味、メディアに殺された悲劇の超能力者と言えよう。
和田氏については、出版社勤務を経て「めるくまーる」という出版社を立ち上げ、バグワン・シュリ・ラジニーシ(オショウ)の本を次々と出版し、日本にも一大ブームを築き上げた。しかしながら出版不況にやられ、和田氏はうつを経験し、今はベトナムでひっそりと年金生活を送っている。
山川夫妻については第四章がまるまる紙面が割かれいる。大蔵役人だった時に「アウト・オン・ア・リム」を翻訳し、持病の喘息に苦しめられつつ、これからと言う時に大蔵省を去ってしまうが、それがために次々と精神世界の名著を日本に発表し続けるようになる。
その導きたるや、サンジェルマン伯爵という「精霊」によるものだと言うあたり、さすがは日本のスピリチュアルリーダーである。また、日本に招待したチャネラーの様子が変わっていったエピソードなども裏話的で面白かった。宗像大社にUFOが・・・など個人的に身近な地名が出てきてリアリティを感じた、
このようにだいたい1970年代から現代に至るまでの「スピリチュアリズム」の系譜を辿りながら、綿密な取材を通じて、いわば「心の時代」を淡々とつづっている。ただ、江原啓之に代表される、昨今のスピリチュアルブームについてはほとんど言及されていないが、実はそのブームなどは、これまでの延長上、おまけのようなものであり、紙面を割くに値しなかったのだろう。確かにそうかもしれない。
個人的にはヘミシンクのセミナーの話、LSDを覚醒のために研究したグロス博士の話、インドのグルに大量のLSDを飲ませて何ともなかったのを見て傾倒してしまったラムダスの話などが興味深かった。
まさに「現代スピリチュアルリズム」の系譜を俯瞰するには、非常によくまとまった一冊であった。
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人生を変える100日ブログ :54日目