「国境おたく」という著者だが、その気持ちはよくわかる。特に徒歩や陸路で越えられる隣国のない日本人にとって、その神秘性に魅かれるのは当然かもしれない。
旅行作家としてこれまで数知れず旅をしてきた下川氏にとっても「国境」は特別な響きのある言葉らしく、まさに「国境」を語らしたら止まらない、の勢いである。
日本にいるとあまり考えれないが、隣の国への国境を越えられるか否かは、その時々の係員の気分次第ってことがよくある。大使館ではNGと言われても、国境まで行ってみたらすんなり通ることも多くはないが、あるにはある。
その際の心構えとして、「身なりを整える」「賄賂はすすんで払う」「愛想笑いはしない」などがあげられているが、実際、同じような経験をしたらよくわかることだろう。特に「賄賂」などは、日本ではありえない、アジアやアフリカではよくあることだ。(時には賄賂が正規料金よりも安いことだってあるが)
そこで本文であるが、本書で取り上げられている国境の中で、私が通ったことのある国境は、
ラオス-タイ
タイ-ミャンマー
パキスタン-イラン-トルコ
だけであるが、特に「タイ-ミャンマー」の国境である「メーサイ-タチレイ」などは、「国境」こそが観光資源のような街である。しかし、それは今の話であって、下川氏が最初に行った当時は、国境に近付くと兵士から銃口を向けられると言った物騒な状況だったらしい。
今では「ミャンマー半日観光」として、ちょっとしたミャンマー気分を味わうことのできる観光スポットの一つとなっているが、あくまで半日に限られ同じゲートから出入国するのが義務であった。
しかし私が行った時は、「同じゲート」という制限がなくなっており、メーサイからタチレイ、そしてミャンマー国内へと奥進み、ヤンゴンから飛行機でバンコクに帰ることができた。
もちろん今現在はどうかわからないが、国境を取り巻く逸話はいつの時代もバックパッカーにとっての恰好のネタになるものだ。
アジア国境紀行 (徳間文庫)/下川 裕治
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