ビジネスマンによるビジネス向けのNLPの入門書。昨今、NLP関連の書籍は雨後の筍ように出版されているが、山崎啓支氏の著作と並んで、日本語で読めるNLP本としては最も使える一冊である。ビジネスという目的意識を持って書かれているため、単なるスキルの紹介にとどまらず、一貫したストーリーが感じられる。
本書をしてNLPプラクティショナーで扱うスキルを網羅しているわけではないにせよ、ビジネスに用いる上で実践的なエクササイズまで紹介されているので、本書を読みこなし、使いこなせば、資格コースに参加する以上の効果があることは間違いない。
NLPが開発された最初のモデルである「メタモデル」や「ミルトンモデル」の概念には触れていないものの、実質上のNLP実践者として名高いロバート・ディルツ氏の「ニューロ・ロジカル・レベル」について懇切丁寧に解説されてあるのがよい。現在はディルツ氏による「NLPコーチング」が日本語で読めるようになっているが、まずは本書から読んでいく方が理解が深まるであろう。
また、著者自身の体験談が随所に紹介されてあり、単なる理論書にとどまらない生きたNLPを体感できる工夫がなされている。NLPとは使えてなんぼなのであるから。
本書は入門書と言えども、後半部分ではかなり高度なスキルをわかりやすくスッキリと紹介されてある。とりわけ「スポンサーシップ」の重要性にまできちんと触れているのは、著者のNLPに対する深い理解と愛を感じさせる。
理論、実践、具体例、入門、基礎、応用、とNLPを理解する上で、あらゆる角度からのアプローチが一貫したストーリーに上に配置されてある。おそらくNLPをかなり実践している人にとっても参考になる部分は少なくないであろう。
NLPを理解するために、もしも一冊を、と言われたらまずは本書を薦めたい。
- NLPでリーダー脳力をグングン高める法/武井 一喜
- ¥1,890
- Amazon.co.jp