写真家で紀行文などの著書も多い藤原新也氏のエッセイ集。
私は藤原新也の写真と文章が好きである。
だから読めるのであって、本書は実にどうでもいい話ばかり書かれている。
表紙(文庫版)には奇妙な眉毛のある犬がカメラ目線で写っている。
正直、ギョッとする。気になるので冒頭の一話「マユゲ犬の伝説」を読む。舞台はバリ島。藤原は旅の途中、ハッキリした眉毛のある犬がおり、土地の人に崇められていると言う話を聞く。
暇だったので見に行った。正体は単に暇だっただけの土地の男がマジックで書いただけのものだった。
しかし、それは単なるイタズラではなく「愛」だと言い切る。だから「天使のまゆげ」なんだと。
日本に帰るとこの写真が話題になった。そうか、一時期のマユゲ犬ブームの発祥は藤原新也だったわけだ。
藤原はもう一度マユゲ犬に会いたくなり、現地に赴くが、ちょうど車にひかれて死んだばかりだった。
そんなどうでもいい話ばかりだ。暇つぶしにはもってこいだが、忙しくても読んでしまう、不思議な魔力が藤原の文章と写真にはある。
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そーいや、むかし、うちの田舎でも、そんな犬がいっぱいおった!
眉毛どころか、目のまわりに輪がついた「めがね犬」、「鼻毛犬」などなど。でも、鼻毛は簡単に消えていたみたいです。