「アー・ユー・ハッピー?」矢沢永吉著

「成りあがり」から四半世紀を経て、51歳になった矢沢永吉が再び糸井重里とのコンビで書き下ろす。

「成りあがり」では、矢沢の貧しい少年時代から、夢を追って上京し(実際には横浜で下車)。キャバレーでのドさ周りをへてキャロルで大ブレイク。その解散までを描いている。

本書はそれ以降の続編になるのだが、すでに一流芸能人として成功しながらも、35億円もの借金を押しつけられたり、たび重なる身内からの裏切り、離婚など、まさに波乱万丈の、いかにも「永ちゃんらしい」ストーリーを洗いざらい語り明かしている。

とにかくスピード感のある文章に何度読んでも心が晴れ晴れとする。読む清涼剤のようだ。誰もが永ちゃんのように生きたいと思うかもしれない。だが、永ちゃんはこう言う。

「オレの話を聞いているときには、観客席かもしれないけど、そいつのストーリーにおいては、そいつは主役だ。打つのか投げるのか走るのか知らないけれど、選手なんだ。予想なんかしている間に、走れ、だよ。」

その通り。オレハ今、こうやって「主役」として生きている。永ちゃんも「主役」かもしれないけど、オレもまたオレの人生の「主役」には違いない。確かに永ちゃんは先を走っているかもしれない。だけど、それがどうした、と思う。永ちゃんは確かにカッコいい。憧れる。でも、憧れてばかりいちゃダメなんだな。オレがその、憧れられる主役として生きていくことが大事なのだから。

だからこそ、「アー・ユー・ハッピー?」なんだと思う。

それから巻末には、例の35億円事件の顛末が語られている。とにかく巧妙に手のこんだ、悪意に満ちた犯罪だったことはわかる。しかし、取られたものは仕方ない。取った奴らも法律上の罰則を受けるのだろうが、だからと言って、35億円が返ってくるわけでもない。

それでも永ちゃんは言う。

「勉強になった」

と。そしてガムシャラに働いて、生きている間に見事に返し終わった。

それ考えると、オレたちの苦労なんてちっぽけなものだし、永ちゃんは永ちゃんで悩んで苦しんでいたことを知るだけでも、何か勇気につながるもんだ。オレも頑張ろうって思うね。

自分でも言ってるけど、永ちゃんは単なるオヤジであり、いつまでたってもガキなんだな。そしてオレもそうありたいと思っているけど、あくまでオレはオレの人生なので、そこんとこヨロシク!

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