ここからは散法、分かれる力の話です。その筆頭が、対冲(たいちゅう)。円の真向かいどうしがぶつかる、分離の形です。けれど、先に言っておきます。対冲そのものに、吉凶はありません。
仕組み
真向かいの、六組
合法が、まとめる、広げるという融合の力だったのに対して、対冲は、離す力です。十二支を円に並べたとき、ちょうど真向かい、百八十度の位置にある支どうしの組み合わせで、全部で六組あります。六衝冲とも呼ばれます。
- 子 ― 午(水と火)
- 丑 ― 未(土と土)
- 寅 ― 申(木と金)
- 卯 ― 酉(木と金)
- 辰 ― 戌(土と土)
- 巳 ― 亥(火と水)
向かい合う二支の五行は、たがいに剋し合う関係です(土の支どうしは、土と土のぶつかり合いになります)。散法ですから、合法とちがって、五行が変化することはありません。意味は、分離、分裂、破壊、停止。物事が細かくなること。そしてこの分かれる力は、片方だけではなく、両方に出ます。
大原則
対冲に、吉凶はない
分離、破壊と聞くと、悪いもののように思えます。けれど、ここが位相法のいちばん大事なところです。合はまとまる、離は分かれる。それだけのことで、良い悪いは、そこにありません。
たとえば、体のなかに病巣ができたとします。病んだ細胞が集まって固まっていくのが「合」なら、手術でそれを体から切り離すのは「離」です。このとき、その人を救っているのは、離のほうです。あるいは離婚。世間の響きは良くないかもしれませんが、憎しみ合ったまま暮らす二人にとっては、離れることが、おたがいの幸せへの一歩になります。
合と離、それ自体に吉凶はない。良し悪しを決めるのは、その人の置かれた立場と背景です。位相法はあくまで現実の「形」だけを読むもので、その形が幸せかどうかは、十大主星や守護神を重ねて、はじめて見えてきます。
原理
天衝冲と、地衝冲
対冲は、同次元分離と呼ばれます。天上界(精神)なら天上界のなかで、地上界(現実)なら地上界のなかで起こる分離で、天の支と地の支が対冲になることはありません。天で起こるものを天衝冲、地で起こるものを地衝冲といいます。
この天と地の割り振りは、十二支の始まりを描いた「衝十二支図」という古い図がもとになっています。天の世界と地の世界はひとつづきで、二つをつなぐのは時間。地上の中心から天のてっぺんへ、一本の時間の線が立ちのぼり、その線を軸に、天の支は天のなかで、地の支は地のなかで、向かい合っています。名前に「衝(冲)」の字が入っているとおり、この図に引かれた線こそが、六つの対冲なのです。
- 天衝冲(巳亥・寅申・辰戌) …… 心が先に壊れ、あとから現実が壊れます。たとえば、愛情が冷めたことが先にあって、やがて離婚にいたる形です。
- 地衝冲(子午・卯酉・丑未) …… 現実が先に壊れ、あとから心が壊れます。離婚を切り出されて、それから気持ちが冷めていく形です。
この順番の違いは、たとえば会社を辞めるときにも現れます。天衝冲の人は、心が先に離れて辞めるので、辞めたあとの職場には二度と寄りつきません。地衝冲の人は、現実が先で心はまだ残っているので、辞めたあともしばらく顔を出し、少しずつ離れていきます。
もうひとつ、同次元という言葉から出てくる知恵があります。分離は、同じ次元にいる相手とのあいだでしか起こりません。誰かとぶつかりそうになったら、自分の次元を上げるか、下げるか。土俵を降りてしまえば、対冲の現象は成立しないのです。
宿命
宿命に、対冲を持つ人
宿命の地支(年支・月支・日支)のうち、二支が対冲になっている人です。ひとことで言えば、用心深い人。内側に、いつも何かを壊して組み替えようとする力を抱えています。そして面白いことに、この形を持って生まれた人は、後天運で対冲がめぐってきても、いわば免疫があるので、衝撃が小さくてすみます。
- 東(年支)がからむ対冲 …… 仕事がひとつに決まらず、細かく分かれていく形です。職を変えることに、ためらいがありません。方向転換の多い人生ですが、それ自体に良い悪いはありません。心がけは、前進で焦らないこと。速度を出しすぎないことです。
- 西(日支)がからむ対冲 …… 結果が細かく分かれて、ひとつにまとまりにくい形です。性格は用心深く、配偶者や補佐役との付き合いに神経を使います。心がけは、結果を急がないこと。そして、結果にしがみつかないことです。
- 東(年支)と西(日支)の対冲 …… 仕事と家庭が、シーソーのように上下する形です。前へ進もうとすると、家のほうからブレーキがかかる。心がけは、仕事を家庭に持ち込まないこと。成果をひとり占めしないこと。仕事が伸びるほど、家への思いやりを厚くすることです。
後天運
対冲が、めぐるとき
大運や年運の支が、宿命の支と対冲になるときです。めぐった場所の物事が、分かれ、細かくなり、いったん止まります。
- 東(年支)と結ぶ ― 東方の対冲 …… 前進が止まるときです。進みたい気持ちはあるのに、何かが引っかかって、すんなり進めません。無理に押すより、態勢を整える時間と考えてください。
- 西(日支)と結ぶ ― 西方の対冲 …… 実りが目減りするときです。十の努力が、六か七にしかなりません。がっかりする場面もありますが、これまでの流れを組み替える転換期でもあります。
ちなみに私は、この対冲に、文字どおり打たれたことがあります。日支と月支を同時に対冲された日、それも二本とも、干まで相剋の天剋地冲だった日に、山で雷に遭いました。天衝冲と地衝冲が、そのまま現象になった日の話は、随筆「雷の日」に書いています。
壊れることと、開くことは、じつは隣り合わせです。手放したあとの手にしか、次のものは載りません。なお、この対冲を土台に、干までからんでくる納音や天剋地冲という、さらに強い形があります。それは特殊四種の記事に書きました。
まとまることだけが、救いではありません。切り離すことで、助かるものがあります。
対冲は、離すという力。良いも悪いも、置かれた場所が決めるだけです。