「大切なことに気づく24の物語」中山和義著

 サブタイトルは「読むだけで人生がうまくいく『心のサプリ』」。実話を元に作者が簡単なコメントを付けるという内容。

 ちょっと人に語りたくなるようないい話。 さしずめ日本製「こころのチキンスープ」と言ったところだろうか。

 一読した気づきは「今」の大切さ。今の自分、今のパートナー、今の仲間、今持っているもの。

 そんな「今」に感謝したいと思った。

 ある心理カウンセラーの話。数年前、カウンセリングの仕事ができなくなった。2歳の子どもが小児麻痺で亡くなったばかりで、冷静な気持ちでクライアントと向き合うことができなかった。

 子どもの相談に来る母親から

「子どもが勝手に学校を辞めて困っているんです」

と言われたら、

「学校になんか行かなくても、近くにいてれたらなあ・・」

 相談に来たお父さんから

「子どもとすぐに殴り合いのけんかになってしまうんです」

と言われたら、

「うらやましいな、子どもが大きくなって、けんかができたらどんなに幸せだろう」

「どうして、みんな、今の幸せに気づかないのだろう・・・」

 確かに私も幸せだ。

大切なことに気づく24の物語~読むだけで人生がうまくいく「心のサプリ」~/中山和義
¥1,050
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―人生哲学 | 「大切なことに気づく24の物語」中山和義著 はコメントを受け付けていません

「こころのチキンスープ」ジャック・キャンフィールド、マーク・ハンセン

 素直に感動できる本。そして素直になれる本。

 アメリカでは風邪をひいた時、お母さんがチキンスープを作ってくれるそうだ。そんな温かい、心が温もる感動的な話が並べられてある。

 それでいて生きる勇気、さらに生きる知恵まで得られる。アメリカの成功哲学の権威の2人が選んだ「ええ話」だから、当然と言えば当然だろう。

 全部で68話が8つの章で分けられている。

 それぞれ「愛の力」「自分を見つける」「子どもから教えられること」「生きることは学ぶこと」「夢を生きる」「前向きに生きる」「障害を乗り越えて」「生きる知恵」となる。

 何も言わずに読んでみて欲しい。

 
 私が個人的に好きな話を一ダースだけ紹介したい。

・子犬と男の子
・百万分の一の命
・本当の勇気
・ほほ笑み
・ブルーリボン
・魔法の言葉
・ゴールは3・3・3
・アンジェラの奇跡
・ぼくは世界一の野球選手
・「できない」君、さようなら
・二粒の種のお話
・二五年前のラブレター



こころのチキンスープ―愛の奇跡の物語/ジャック キャンフィールド
¥1,529
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―人生哲学 | 「こころのチキンスープ」ジャック・キャンフィールド、マーク・ハンセン はコメントを受け付けていません

「『売れる営業』の話し方」ケビン・ホーガン著

 セールスやコミュニケーションに関する書籍は、毎日のように類書が濫造されている。

 もちろん玉石混合ではあるが、それだけ顕在的・潜在的ニーズの高い分野であるとも言える。

 本書は「その見逃せない心理術」とサブタイトルにあるように、「営業の心理学」の本であり、多くはNLP(神経言語プログラム)などで説明されるビジネス心理学がベースとなっている。

 それを本書ではMAP(マインド・アクセス・ポイント)という概念を持ち出し、いかにしてセールスを有利に進めることができるかを、無意識、非言語的レベルで解説する。

 それは著者が断言するように「営業が成立しているのは無意識のレベルにおいて」であることが前提となっている。

 まずは多くのセールスノウハウ本でも紹介されている「ラポール」について。

 それを本書では7段階で説明する。順番に「相手への関心」「ミラーリング」「マッチング」「話し方のペーシング」「話し方のマッチング(VAKに基づく)」「呼吸のペーシング」「姿勢やポーズを合わせる」である。

 それができたら、今度は「リーディング」によって、相手を自分のペースに引き込む。

 それでセールスのベースが完成する。

 次に人間の「欲求」に着目した会話術を説明する。

 その欲求とは4つの基本形、すなわち「食」「危険回避」「危険への抵抗」「セックス・複製」と、そこから派生する16パターンから成立している。

 そしてその欲求度に応じた刺激的な(MAP的な)会話例が紹介される。

 読むだけでも非常に実践的である。

 その他の章も「アンカー」「感覚系(VAK)」「メタモデル」とそのまんまNLPである。

 それをセールス、交渉術に実践的に昇華しているため、時として観念的になりがちなNLPのスキルの活かし方を知ることができる。

 また、非言語的コミュニケーションの極みとも言える「身体の動き」については、「身だしなみのヒント(スリムの方が成績が伸びやすい、髭は剃れなど)」「交渉に有利な座る位置」「目線」「握手の仕方」など、知っておくと便利なノウハウが実に具体的に紹介されている。

 終盤には催眠効果のある会話集(主にミルトンモデル)、過去の書き換え、モデリングなど、あれ!そのまんまNLPだ、と言うことにNLPerならば気づくことだろう。

 そしていい復習になるし、NLPを知らない人にもセールスの裏の技を知る上で役に立つ。

 実は本書には「NLP」と言う言葉は出てこないが、読んでみると実に優れたNLPの実践書であることがわかった。

 それはともかく無意識レベルのコミュニケーションを知り、実際上のセールスに活かすことができると言う点で良書である。

「売れる営業」の話し方、その見逃せない心理術/ケビン ホーガン
¥1,313
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―ビジネススキル | 「『売れる営業』の話し方」ケビン・ホーガン著 はコメントを受け付けていません

「ザ・シークレット」ロンダ・バーン著

 世界的ブームを巻き起こした「ザ・シークレット」の待望の邦訳版。

 そして「秘密」の正体である「引き寄せの法則」も大ブームとなり、関連本が日本内外問わず多数出版されている。

 そもそも「ザ・シークレット」は映像先行型であり、書籍にしてみると、これまでの成功本でも再三言われてきたことであるため、さほど新鮮味は感じないであろう。

 つまり「思考は現実化する」のであり、「望むものはすべて手に入る」ことを改めて多くの著名人に語らせる内容である。

 したがって、内容が悪かろうはずはないし、この本がきっかけで大切なことを学んだ人も少なくないであろう。

 また、この手の本に馴染んでいる人にとっても、改めて確認することができ、新たな気づきを得ることもあろう。

 言っているな内容は決して難しくないし、それでいて格調の高さを感じさせる。

 私も「ザ・シークレット」には少なからぬ感銘を受けた。

 ただ、私のメインの読み方、使用法は「The Secret」の原書とCDを購入し、英語の勉強に充てることだ。

 CDは聞き取りやすい発音で、なおかつ多くの著名人の声を聞くことができるので、やはり活字よりも音声の方が内容を引き立たせている。

 英文もある程度の英語力で十分に読める内容であり、英語で成功法則を学ぶ、というスタンスでは、これに勝るものはないだろう。

ザ・シークレット/ロンダ・バーン
¥1,890
Amazon.co.jp
The Secret [UK版]/Rhonda Byrne
¥1,808
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―願望実現・自己啓発 | 「ザ・シークレット」ロンダ・バーン著 はコメントを受け付けていません

「佐賀のがばいばあちゃん」島田洋七著

 勇気が出る人生哲学の詰まった本。

 もう説明の必要もないだろう。貧乏をしても明るさと誇りだけは失わず、前向きに生きていく女性とその孫の話。

 鉄くずを拾うために、磁石を引きずって歩き、川上から流れてくる捨てられた野菜を集める。

 いかにも貧乏くさいのだが、それが哀れさを誘わないのは、二人の生きる姿勢によるのだろう。

 がばいばあちゃんにの貧乏には2種類ある。それは「明るい貧乏」と「暗い貧乏」。二人はまさしく「明るい貧乏」なのである。

 著者の島田洋七はB&Bという漫才コンビで一世風靡したことがある。

 主に相手の出身地をけなして笑いを取るネタだが、「もみじまんじゅう」と言って、面白おかしくけなしまくるのが立派な笑いになる原点は「がばいばあちゃん」の視点にあったのでは、と改めて認識される。

 すべてを笑いに転換する。その実、「がばいばあちゃん」の生き方は「漫才」のネタそのものであるから。

 本書には笑いだけでなく、泣かせる場面も少なくない。

 とりわけ終盤の、修学旅行に行けない同級生のためにカンパする話はハンカチなしでは読めない。

 洋七は中学で野球部の主将であった。3年生になると楽しみな修学旅行が待っているのだが、部員の一人が母親の医療費のために行けないと言う。

 それを部員みんなでアルバイトをしてカンパするのだが、その同級生はお金を受け取っておきながら結局行かないのである。

 憤慨して詰め寄る部員はその同級生の心を知る。何と後輩のために野球道具を買っていたのである。

 洋七ら部員はその場で土下座しながら、がばいばあちゃんの言葉を思い出す。

「本当の優しさとは、相手に気づかれずにすること」

 特別付録のがばいばあちゃん語録は見事な「リフレーミング集」である。私のお気に入りは

・嫌われているということは、目立っているということや。

・ケチは最低!節約は天才!

・「暑い」「寒い」と、うるさく言うな。夏は冬に感謝し、冬は夏に感謝しんしゃい。

・海水パンツなんかいらん!実力で泳げ!!

・人間は死ぬまで夢をもて!その夢が叶わなくても、しょせん夢だから。

素晴らしい哲学である。

佐賀のがばいばあちゃん (徳間文庫)/島田 洋七
¥540
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―人生哲学 | 「佐賀のがばいばあちゃん」島田洋七著 はコメントを受け付けていません