「アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」エリコ・コウ著

 何かにつけてぺらぺらとめくりたくなる本。はじめから読む必要もなく、何気なく開いたページにこそ必要なメッセージがある。そんな本。

 本書はアメリカ・インディアン(ネイティブ・アメリカン)の種族に伝わる言葉を「13の月」の順番にまとめて、そこに短いエッセイを綴ったスタイル。目の覚めるような言葉が大切なことに気付かせてくれる。たとえば一月目の「人生の高み月」から。

・こころが曇ったら、晴れた空や輝く星を見る。
・ひとも自然。すべては関わりあっている。
・地球人として、宇宙人として生きる。
・日はまた昇り、季節は巡る。また始めればよい。

 この本に対してはレビューなど無意味。常に携帯して、導きに応じて開いてみるとよい。必ず必要なメッセージが授けられるであろう。

アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉 (扶桑社文庫)/エリコロウ
¥600
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―宗教・精神世界 | 「アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」エリコ・コウ著 はコメントを受け付けていません

「炊飯器で超かんたん ふんわり米粉パン」多森サクミ著

 高校のクラスメートが書いた本。

「小麦アレルギーの長男の食事作りをきっかけに、自己流で米粉パンを作っては食べ、配合を変えてはまた作りと、この数年試作を重ねてきました。そして生まれたのが、炊飯器で作る米粉パンのレシピです」

と言うことで、もともとはデザイン関係の仕事をされていた多森氏が、その感性を生かして開発した「炊飯器での米粉パン」と、それを世に紹介するレシピ本。

 実を言うと、私は「米粉パン」が大好物である。通常の小麦のパンの100倍は好きで、パン屋に行って売っていたら必ず買う。モチモチとかみごたえがありながら、決して固いわけでなく、味が奥からしみ出てくるような感触。しかも、砂糖など甘味がなくとも、それ自体にほんのりと甘みあり、食べ飽きない。

 その米粉パンを自宅で、しかもどこにでもある炊飯器で作ってしまうこの創造力には脱帽。本書はもちろんプレーンの米粉パンの作り方に始まるのだが、いわゆる菓子パンから酒のつまみ、スウィーツ(笑)に至るまで、実に美味しそうな写真とともに紹介されている。

 さっそく本書で紹介されている「リ・ブランの米の粉」を買ってきたがまだ作っていない。それはともかく私はこの「米粉」にはたいへん期待をしている。小麦に比べてアレルギーに強いのもあるが、味も米粉の方が数段上。さらに将来的には日本の食料自給率の向上にも寄与すると思われる。実際、ベトナムなど東南アジアでは、パンも麺も米からできており、とても美味しい。

 現在、アメリカの小麦などの圧力で、日本国内の米や小麦の生産が制限されているが、日本にはまだまだ米小麦を生産する余力がいくらでもある。しかし、減反など生産規制によって、食料自給が下がるだけでなく、日本の農地・自然をも破壊することにつながる。

 もしも「米粉」が小麦並に一般化すれば、パンやお菓子など加工品の販路の広がり、米が余ることもない。そして何より環境の保全や第一次産業の育成にも寄与するのである。つまりは「環境」と「経済」と「健康」のすべての面を一気に向上させるポテンシャルが米粉にはある。

 現在のところ、米粉はまだまだ値段的にも高いので、一般家庭が日常的にばんばん使う習慣はないかもしれない。しかし、米粉のニーズが拡大し、そして将来的な食糧自給への危機感が高まれば、日本政府も米粉の生産に本腰をあげるだろう。

 本書はまさに米粉のポテンシャルを再確認し、日本の将来を救うことになるかもしれない、その貴重な礎となるであろう。多森氏の今後の活躍をますます応援したい!

ふんわり米粉パン―炊飯器で超かんたん 小麦粉・卵・乳製品ゼロ/多森サクミ
¥1,470
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―生活一般 | 「炊飯器で超かんたん ふんわり米粉パン」多森サクミ著 はコメントを受け付けていません

「コミュニケーションのための催眠誘導」石井裕之著

 今や累計60万部を超す大ベストセラー作家となった石井裕之氏の実質上の処女作に当たるのかが本書。そして石井裕之氏の最高傑作であることに疑いはない。

 潜在意識を活用したコミュニケーションのテクニックであるが、NLP(神経言語プログラム)などの本を併読するとさらに理解が深まるであろう。ここで言う「催眠誘導」とは、もちろん巷で見る催眠術の類ではなく、ミルトン・エリクソンの催眠誘導がベースとなっていることは言うまでもない。

 
 2009年現在では、NLPをはじめ類書が数多く出ているが、本書が世に出た2000年、つまり今から10年前はこのような類の本はほとんど出ていなかったのではないだろうか。ある意味、禁断のテクニックであったかもしれないが、今でもその効果は十分にある。10年たった今も色あせない、まさしくビジネスマン必読の書であると言えよう。

 本書はとにかくわかりやすいので、催眠誘導のなんたるかを学ぶ上でも役に立つが、セラピーやコーチングの経験のある、ある意味上級レベルと言える人にとっても気づきの多い一冊であろう。私も何度も繰り返し読んだ。

 ここではあえて内容に触れることはしないが、たったのワンコイン500円で、これだけのコンテンツを吸収できるとは、世の中の価値たるや実にチグハグである。ちなみに本書は声を出して読むと非常に効果が高まり、数万円のセミナー受けるのと同じ効果がある。

コミュニケーションのための催眠誘導 「何となく」が行動を左右する (知恵の森文庫)/石井 裕之
¥580
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―ビジネススキル | 「コミュニケーションのための催眠誘導」石井裕之著 はコメントを受け付けていません

「「法則」のトリセツ」水野俊哉著

 ビジネス書オタクである水野俊哉氏が、古今東西における150個の「法則」を一冊の本にまとめた。水野氏によると「法則」とは人生をショートカットするツールのこと。仕事や恋愛、人間関係など社会生活を営んでいると、様々な局面に遭遇する。その際、ある人はそれを難なく乗り越えることもあれば、別のある人はそれを越えられずに停滞してしまうかもしれない。その違い生み出すものの一つが「法則」であると言う。

 たとえば組織を動かす際、なるべくなら全員を働きアリにしたい気持ちになる。その方が効果が高いと思うからだ。しかし、現実にはそうではない。一生懸命に働く社員とそうでない社員が存在するものだ。人によっては働かない社員に対して、イライラすることもあろう。しかし、ここで「働きアリの法則」を知っていると、それぞれ2割の働きアリと働かないアリが普遍的に存在することを受け止め、働かないアリに対して余分なエネルギーを注ぐ必要もなくなるだろう。

 つまり世の中の「法則」とは場合によっては、知っている知らないだけで、その時々の状況、ひいては人生全体をガラリと変えてしまう可能性があるのだ。

 本書は「職場の法則」「仕事の法則」「ビジネスの法則」「勉強の法則」「心の法則」「成功本の法則」と6つのパートにわけて、それぞれに関連する「法則」が紹介されている。中には誰もが知っている有名な「法則」もあれば、非常にマイナーなものまでカバーされてある。

 本書の欠点があるとすれば、それぞれの「法則」についての説明が簡単過ぎることであり、たとえば「社会的証明の法則」などは、その出典の中においては非常に多くの説明がなされた項目である。しかし、本書の目的は、特定の「法則」にのみ焦点を絞って、懇切丁寧に紙面を割くことではなく、まさに「トリセツ(取扱説明書)」とあるように、辞書的な使い方が本来であろうから、その批判は批判に値しない。

 特定の法則に関心がわけば、出典となる本を読めばいいだけの話であるから。しかし、本書一冊で、ビジネスシーン等で必要となる「法則」を網羅しているため、話のネタとしてもうってつけであろう。

 企画書や商談など本腰を入れるシーンにでも重宝するであろうが、何よりも、知っているだけで相手からは「使える人間」と思われること請け合いである。会社の女の子にさりげなく話すだけでも、見方が変わるかもしれない。

知っているようで知らない 法則のトリセツ/水野 俊哉
¥1,260
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―ビジネススキル | 「「法則」のトリセツ」水野俊哉著 はコメントを受け付けていません

「運命を拓く」中村天風著

 中村天風の「運命を拓く」は最もよく読んだ一冊である。何度読んでもその都度新しい発見があるし、その時々に最善のメッセージを授けてくれる、私にとってバイブルであることを間違いない。

 そして天風の入門書としてもおススメできるが、最後の一冊であるとも言える。はじめに「天風小伝」として天風の生い立ちが紹介される。現代では考えられない凄まじい人生である。血の気の多い少年時代から、満洲へのスパイ活動では死刑宣告を受けながらも、銃殺の瞬間に手榴弾の爆破により助かる。

 しかし、日露戦争の勝利の後、悪性の肺結核を患い、治療のために世界を渡り歩くようになる。しかしながら、どこに行ってもこれと言う手立てがないままに、行きついた場所がヒマラヤの麓のヨガの修行場であった。そこで修行をすることにより、結核が完治するばかりでなく、天下の天風としての礎が築かれるのである。

 本書はサブタイトルに「天風随想録」とあるように、天風の生の声を文字に綴ったものであり、一つ一つの言葉が胸に心にズシンと響いてくる。天風はインドでの修行経験などによって、その哲学を編み出したのであるが、おそらくは世に在る成功哲学のベースがこの天風哲学にあるように思う。

 成功哲学というジャンルは今でも手を替え品を替え、いまだに発行され続けているが、極端な話、表紙とタイトルが違うだけで、中身はすべて同じである。つまりベースはすべて同じであり、そこに著者の経験や表現方法が違うだけで、一冊の本として成り立っている。

 そのベースの一つがまさに中村天風なのである。そして天風の言葉にはすべてオリジナリティがあり、天風が直接受け取った宇宙からの真理を感じさせる。たとえば、天風独特には「宇宙霊」という言葉があるが、別の本ではこれを神と言ったり、ハイヤーセルフと言ったり、潜在意識と言ったりするのであるが、天風哲学はまさに「宇宙霊」でしかあり得ない。

 そこに天風の単なるエピゴーネンでない、真のオリジナル哲学を感じさせるのである。天風はまさに「宇宙霊」としか言いようのないものとリアルに対置していたのであろう。

 私が個人的に特に感動したのが第二章の「人生を支配する法則」にある。インドのグルと対話の中で、天風は「この世に生まれてきた意味」を問われる。そこで何度もグルから殴られながら、ある時、ふと出てきた答えが、

「人間は、宇宙の進化と向上に順応するために生まれてきた」

という悟りである。つまり人間は万物の根源たる宇宙とつながりを持つ資格があり、そのことを理解して生きる者が、生き甲斐のある人生を送るのだと言う。

 この箇所を読んで心が震えた。その真理を知るようになり、私自身の人生も真に幸福に包まれたのである。まさに人生の根本原理であろう。

 何かに挑戦するとき、つまづいた時、そしてふとこの表紙が目に泊まってしまった場合、私は迷わず本書を開くことにしている。そこで助けられ、勇気を与えられたことが、何度あったろうか。

運命を拓く (講談社文庫)/中村 天風
¥580
Amazon.co.jp


カテゴリー: |―人生哲学 | 「運命を拓く」中村天風著 はコメントを受け付けていません