陰 占 ・ 位 相 法

破とは急に加速するか、ブレーキか

散法速度の変化石田久宗

散法の最後は、破(は)です。これまでの七つのような、大きな話ではありません。単独では、ほとんど働かない小さな約束事です。けれど今回は、この小さな形を象徴にして、少し辛口の話をさせてください。

破 = 子酉・丑辰・卯午・戌未
円の四分の一を、ひとまたぎする四本。軽く、たわんでいます。

仕組み

円の、四分の一を結ぶ

破は、四組あります。十二支の円のうえで、ちょうど四分の一、直角の弧をひとまたぎする組み合わせです。

散法ですから、五行は変化しません。なお、角度のうえでは同じ四分の一にあたる寅亥と巳申は、破には数えません。この二組は、支合として結ばれている組だからです。

意味

単独では、働かない

破の働きは、物事の流れの速さを、ふいに変えることです。急に加速がつくか、急にブレーキがかかるか。そのどちらかです。

ただし、破がひとつあるだけでは、ほとんど効果は出ません。三合会局や半会、対冲や刑といった、他の約束事に重なったとき、はじめて働きます。宿命にあっても、後天運でめぐってきても、破単独で慌てる必要は、まったくありません。他の形と重なっていないか。見るのは、そこだけです。

実感で言えば、こうです。いつもは三回確認してOKを出しているところを、念のため、もう一回。破のメッセージは、その程度の軽さです。本来は、無視してかまいません

戒め

安心は、杖ではない

ここからが、辛口の本題です。算命学にかぎらず、占いの世界には、ひとつの風潮があります。無難を目指して、やたらとマイナスの材料を探し、それを避けることで安心しようとする風潮です。今年は破があるから控えよう。接運だから動かないでおこう。

気持ちは、わかります。単なる努力不足や怠慢を棚に上げて、安心できる理由がほしいときは、誰にでもあります。けれど、破や接運のような、どうでもいい小さな概念にすがって安心しようとしているなら、要注意です。

安心は、セーフティネットです。落ちたときに命を守る網であって、歩くための杖ではありません。網を杖にした人から、歩けなくなっていきます。破を無視する勇気。それが、算命学を健全に活用するために、いちばん大切なものだと私は考えています。

姿勢

俗説を、鵜呑みにしない

もうひとつ。史実の話です。刑の記事で、軍略の俗説に触れました。刑を説明するギミックとしては秀逸だが、史実としては確認できない、と。この破も、同じです。位相法はもともと軍略の技術だった、という語り口で説明されることが、よくあります。破は敵の勢いを急に止める術だった、というふうに。けれどこれも、遡れる史料はありません。実は、この種の話は、算命学のあちこちに転がっています。裏の取れない伝承が、なぜいつまでも残り続けるのか。理由は簡単で、偉い先生が言うのだから間違いない、で止まってしまうからです。そもそも、高尾義政氏が本当にそう言ったのかどうかさえ、確かめようのないものも少なくありません。

私がこの学問を、ときどき「野球盤」と揶揄したくなる、ゆえんです。本物の野球によく似た、盤の上の遊び。権威の言葉のとおりに駒を動かしているだけなら、学問ではなく、それと同じです。

鵜呑みにしない。権威に服従しない。いまはAIという道具もあるのですから、ファクトと一次文献に関心を持つこと。その姿勢こそが、算命学を活用する秘訣だと、私は考えています。

むすび

位相法の基礎、これにて八つ

これで、位相法の基礎が出そろいました。合法の四つ。三合会局、半会、支合、方三位。散法の四つ。対冲、害、刑、そして破。ぜんたいの見取り図は、位相法とはのページにまとめてあります。

最後に、シリーズを通して言い続けてきたことを、もう一度だけ。位相法は、あくまで現実の「形」を読むものです。その形が幸せなのか、そうでないのかは、別の話。十大主星や守護神を重ねて、はじめて判断できます。守護神の話は、また稿を改めて。

破は、無視していい。その勇気が、この学問をセーフティネットにします。
杖に、ではなく。