▲ 2016.2.21 出発 … 自転車とテントで、南島を北東から南西へ … 3.3 帰国 ▼
2.21 – 2.22
初日から、歩く / クライストチャーチ
2016.02.21(日)— 02.22(月)
「自転車で、ニュージーランドを縦断する。」
自転車をダンボールに詰めて、チャイナエアラインで台北を経由し、メルボルンを乗り継いで、クライストチャーチへ。乗り継ぎの検査で、工具をいくつか没収された。嫌な予感は、的中する。空港で自転車を組み立てると——空気入れの部品が、ない。タイヤに空気が、入らないのだ。
ARRIVAL — 自転車を抱えて、南島に降り立つ
しかたなく、初日からいきなり、自転車を押して十キロを歩く。乗るための自転車を、押して歩く。これが、この旅の幕開けだった。たどり着いたユースホステルの周りには、二〇一一年の大地震の傷あとが、まだ生々しく残っていた。工事だらけの街。半壊したままの建物。夜は、ポテチとコーラ。
WALK — 乗るはずの自転車を、押して歩く初日
NIGHT — 地震の街で、ポテチとコーラの夜
ブログ原文 ▸ 出発 / 1日目
2.23
拾うが、勝ち / アシュバートン → アランデル
2016.02.23(火)
「道に、万能スパナが落ちていた。神の恵みだ。」
自転車屋で空気を入れ、部品も調達して、ようやく本当の出発。国道一号線を、南へ。マクドナルドで一息ついて、ひたすらペダルを漕ぐ。牛と羊しかいない、どこまでも続く牧草地。すると——道に、万能スパナが落ちていた。迷わず、拾う。なんとなく、これは後で役に立つ気がした。神の恵み、というやつだ。
T-SHIRT — 「夢なに」Tシャツを着て、南島を走る
アシュバートンを過ぎ、アランデルの無料キャンプ場へ。モンベルのムーンライト一型を張る。これから毎晩、このテントが我が家になる。安くて、自由で、最高だ。
CAMP — 今夜から毎晩の、我が家になるテント
ブログ原文 ▸ 2日目
2.24
水、水、水 / ジェラルディーン → フェアリー
2016.02.24(水)
「ハンガーノック寸前。のど飴二個で、生き返った。」
テカポを目指す。が、Googleマップの「自転車ルート」が、大失敗。未舗装の道に迷い込み、しまいには川を、膝下まで浸かって渡る羽目に。店も自販機もなく、飲まず食わず。ジェラルディーンでようやくありついたチキン&チップスが、五臓六腑に染みわたった。
RIVER — 自転車ルートの罠。膝まで浸かって川を渡る
FUEL — 飲まず食わずの末の、チキン&チップス
フェアリーへ向かう途中、ついに体が動かなくなった。ハンガーノック寸前。頭が真っ白になりかける。とっさに口に放り込んだ、のど飴二個。すると、嘘のように力が戻ってきた。糖分の、ありがたさ。命をつなぐ、二個の飴。
CANDY — ハンガーノックを救った、のど飴二個
ブログ原文 ▸ 3日目
2.25
テカポ湖と、サーモン丼 / フェアリー → テカポ
2016.02.25(木)
「旅で初めてのビール。そして、サーモン丼。」
前夜、見上げた夜空に、龍がいた。ニュージーランドの銀の龍と、日本の金の龍。そんな空想を抱えて走り出すと、フェアリーからテカポ湖までの四十六キロは、強烈な向かい風。漕いでも漕いでも進まない。それでも、たどり着いた。テカポ。日本人旅行者の姿も、ぐっと増える。
HEADWIND — 漕いでも進まない、強烈な向かい風
TEKAPO — 向かい風の果てに、たどり着いた湖
ここで、旅に出て初めてのビール。よく冷えたハイネケンが、五臓六腑に沁みる。サーモンとチーズとトマトのキッシュ。そして、テカポ名物の——サーモン丼。澄んだ水で育ったサーモンの、とろけるような旨さ。苦労して漕いだぶんだけ、何もかもが美味い。
SALMON — 旅初のビールと、名物サーモン
ブログ原文 ▸ 4日目
2.26 – 2.27
ターコイズの湖と、誕生日 / プカキ湖 → リンディス峠
2016.02.26(金)— 02.27(土)
「四十三歳の誕生日。生涯で、最高の一日。」
テントで十二時間、泥のように眠った。走り出すと、現れたのはプカキ湖。氷河が溶けて流れ込む、信じられないほどのターコイズブルー。空には、龍のような雲。昼はコーラとカップ麺。やがて道の先に、「クイーンズタウン」の標識が見えはじめた。ゴールが、近づいてくる。
SKY — 湖の上に、龍のような雲
翌日、二月二十七日は、四十三歳の誕生日。オマラマでフォースクエアに寄り、タラスまで八十キロ。やはり向かい風。そして、リンディス峠の登りが待っていた。黄金色のタソックに覆われた山並みは、まるで『ロード・オブ・ザ・リング』の世界そのもの。息を切らして頂上に立つと、ご褒美のような絶景と、長い下りが広がっていた。生涯で、最高の誕生日だ。
LINDIS — ロード・オブ・ザ・リングの世界、リンディス峠
SUMMIT — 登りきった頂上の、ご褒美の絶景
ブログ原文 ▸ 5日目 / 6日目
2.28
日本人と、青い湖 / クロムウェル
2016.02.28(日)
「野宿を共にした、日本人の若者がいた。」
前の晩、野宿を共にした日本人の大学生がいた。同じように自転車で旅をしている若者。異国の地で日本語を交わすと、不思議と力が湧いてくる。朝はカフェでモーニング。ゆっくりと体を起こす。
MORNING — カフェでゆっくり、朝をはじめる
この日は、ワナカへ行くか、クロムウェルへ行くかの分かれ道。地図とにらめっこした末、足は自然とクロムウェルへ向かっていた。道中、抜けるように青い湖が、ずっと寄り添ってくれる。フルーツの町、クロムウェル。橋を渡れば、ゴールはもう、すぐそこだ。
BLUE — どこまでも青い湖が、道に寄り添う
CROMWELL — フルーツの町、クロムウェルの橋
ブログ原文 ▸ 7日目
2.29
白ワインに、目覚める / アロータウン → クイーンズタウン
2016.02.29(月)
「ニュージーランドの白ワインは、最高だ。」
恐ろしく寒い朝。かじかむ手で、テントの中でコーヒーを淹れる。この一杯のために、旅をしているようなものだ。そして向かったのは、ワインの里アロータウン。ワイナリーでテイスティングセットを頼み、土地の料理を合わせる。ここで、ニュージーランドの白ワインに、すっかり目覚めてしまった。きりっと冷えて、果実味があって、最高だ。
WINE — NZの白ワインに、すっかり目覚める
PAIR — 白ワインに寄り添う、ワイナリーの一皿
そして——クイーンズタウンに、到着。約五百キロ。初日から自転車を押して歩いた旅が、ついにゴールを迎えた。湖を抱く、美しい街。やりきった、という静かな実感が、じわりと込み上げてくる。
GOAL — 約500km。クイーンズタウンに到着
ブログ原文 ▸ 8日目
3.1
新たな世界へ、バンジー / カワラウ橋
2016.03.01(火)
「一度はやめようと、振り返った。それでも、飛んだ。」
クイーンズタウンのホリデーパークに二泊。そして、向かったのはカワラウ橋。商業バンジージャンプ発祥の地だ。もともとはバヌアツの成人儀礼だったという。橋の上に立つと、足がすくむ。眼下には、エメラルドの川。
KAWARAU — バンジージャンプ発祥の、カワラウ橋
DROP — 足のすくむ、真下のエメラルドの川
いよいよ、自分の番。一度は「やめようか」と、後ろを振り返った。心臓が、口から飛び出しそうだ。でも——飛んだ。逆さまになって、川面に吸い込まれていく。落ちながら、世界が反転する。新たな世界へ。ひとつ、殻を破った気がした。
JUMP — 振り返り、それでも、飛んだ
VIDEO — カワラウ橋から、いざ飛ぶ瞬間
ブログ原文 ▸ 9日目
3.2 – 3.3 / 帰路 / HOMEWARD
カレーと、拾ったスパナ / クイーンズタウン → 帰国
2016.03.02(水)— 03.03(木)
「あの日拾ったスパナが、最後の最後で活躍した。」
振り返れば、九泊のキャンプで、しめて一万四千百円。安い。自由で、最高だった。ゴンドラは、まあいいかと断念。そのかわり、フードコートで食べたインドカレー——ラムカレーが、めちゃくちゃ美味い。カレーは、世界中どこで食べても、間違いがない。
CURRY — フードコートの、めちゃ美味いラムカレー
クイーンズタウンの空港で、自転車をふたたび箱に詰める。そのとき——あの日、道で拾った万能スパナが、大活躍した。やっぱり、必要なものは、ちゃんと与えられていたのだ。伏線は、最後にきれいに回収された。
TOOL — 拾ったスパナが、箱詰めで大活躍
クイーンズタウンからクライストチャーチへは、小さなプロペラ機。低く飛ぶので、まるで遊覧飛行のよう。眼下に、自転車で越えてきた山と湖が広がる。そこからメルボルン、台北桃園を経て、福岡へ。ニュージーランドは、自転車に、最高だ。ただいま、日本。
FLIGHT — 遊覧飛行のような、小さなプロペラ機
ブログ原文 ▸ 10日目 / 帰国